地震保険の始期が平成26年7月1日以降となる契約から、地震保険料が値上がりすることをご存じでしょうか? これは東日本大震災を踏まえ、政府の研究機関が地震振動予測地図の見直しを行った結果、地震保険の保険料も見直しとなったためです。
注意点は、7月1日以降に地震保険の更改や自動継続を迎える契約も含まれることです。地震保険の保険期間は1年か5年のどちらかを選んで加入することになっており、1年であれば毎年保険料が変わるリスクがありますが、5年であればその5年間は加入時の保険料率が適用されます。
例えば、3年前に保険期間5年の地震保険に加入した人は、あと2年間しか加入当時の保険料率が適用されず、5年経過後は7月1日以降の値上した保険料が適用されることになります。
では、どれぐらい保険料が上がるのでしょうか。引上率を見てみましょう。
以下は、損害保険ジャパンの地震保険料の改定表です。
例えば神奈川県の場合、一戸建て木造住宅で4%の値上げ、マンションで20%の値上げが適用されることになります。逆に、値下げが行われるのは山梨県や長野県のみとなります。
しかも、今回の改定には南海トラフ地震を想定した地震振動予測地図の見直しを行っていません。今回の値上げはあくまでも第一弾と見るべきで、将来的には地震保険料がさらに上がることを想定したほうがいいでしょう。
一般的に、火災保険には加入していても、地震保険や家財保険まで加入している人は少ない傾向があります。ちなみに、地震で壁にヒビや亀裂が入ったり大型液晶テレビが倒れて破損しても、火災保険のみでは一切保障されませんのでご注意ください。
では、消費者としてこの値上げに対してどう対処したらいいでしょうか。それは、「現在の保険料率で最長5年間、地震保険料を確定してしまう」ことです。そのためには、現在加入中の保険の内容を見直し、変更する必要があります。
7月1日以前に一旦、現在加入中の保険を解約し、あらたに同じ保険、もしくは他社の保険に加入します。その際に、地震保険の期間を5年に再設定して加入すれば、現在の保険料率で最長5年間維持できることになります。見直しのデッドラインは、6月30日保険始期ということになります。
地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任を政府が再保険し、再保険料の受入れ、管理・運用のほか、民間のみでは対応できない巨大地震発生の際には、再保険金の支払いを行うために地震再保険特別会計において区分経理しています。
(財務省のWebページ「地震保険制度の概要」より)
このように、地震保険の半分は国の事業でもあるため、先に述べたことは、損害保険会社がわざわざ契約者に知らせることはないでしょうし、保険代理店は解約した契約が再度自社に戻ってくるか分からないため、あえてこのことを契約者へ教えるようなこともしないでしょう。ですから、契約者が自発的に保険見直しのアクションを起こさないといけません。
また、地震保険の保険期間を5年に設定した場合、その5年分の保険料を一括で払い込む必要がある会社と、毎年の年払い(長期年払)ができる会社があるので確認しておきましょう。(伊藤克己)
伊藤克己
ゆうゆうFP事務所 代表FP
電機・半導体メーカー退社後、外資系生保と乗合代理店で実務を学び、独立系FP事務所を開業。リスク・ファイナンシングを現場実践している「実践派FP」として顧客利益優先に活動。
生命保険協会認定FP、DCマイスター(確定拠出年金専門資格)。
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