このビーコン発信器独自の番号は「UUID」と呼ばれている。UUIDはさらに2種類の識別番号が付与され、1つのUUIDで、1つのグループを構成している。例えば全国展開している小売店チェーンであれば、店に設置したビーコン発信器ごとに異なる識別番号を付与しつつ、UUID自体は同じものを与えることで、チェーン全体で1つのグループを構成できる。
なぜこんな管理をするのか。アップルのiOSでは「1つのUUIDに対して、1つのアプリ」という1対1の対応が原則となっているからだ。iBeaconに対応するアプリがあったとすると、そのアプリは特定のUUIDを持つ発信器にしか反応しない。そのため「Aという小売りチェーンには、Aというアプリを用意する。Bという小売りチェーンには、Bというアプリを別途用意する」とする必要がある。
この仕組みは、メリットとデメリットの両面がある。メリットは「関係のない店では反応しない」ようにできること。利用者にとっては「興味がない店舗のiBeacon情報はそのまま素通りできる」ことを示す。スマートフォン側からしても「小売りチェーン店“A”のiBeacon信号を受信したら、小売りチェーンアプリ“A”を起動する」と、処理をシンプルにできる。
デメリットは、iBeacon機能を利用者に受信してもらうために“ワンアクション”が発生すること。具体的には「まず、該当アプリをインストールしてもらう」ことが必要だ。アプリをインストールしていない人には、せっかく設置したビーコン発信器も何の意味を持たない。
そこで店側は、まず「自分のところのアプリをインストールしてもらうよう、プロモーション活動を行う」必要があり、さらにアプリを継続して使い続けてもらうために「さまざまなサービスが利用できるアプリと、それに連動するクラウド上で動作するバックエンドのサーバシステム」の構築を両立しなければならない。特に前者の「まずはアプリをインストールしてもらう」ことがiBeacon活用における大前提だ。
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