インタビュー
» 2014年10月01日 08時00分 公開

世界で売れてる、日本発のヒット商品:“イケてない企業”が陥りがちな、2つのワナ (3/5)

[土肥義則,Business Media 誠]

「水道哲学」にとらわれている

永井孝尚さん

土肥: 飲料メーカーは毎年たくさんの新商品を発売しているけど、お客さんにはほとんど伝わっていない。テレビメーカーはお客さんの声を聞いていれば間違いないと思って、機能をどんどん増やしていったけど、その結果使い勝手の悪いモノになった。「フレームワーク」でいえば、(3)のお客さんは何を必要としているのか? がよく分かっていないということですね。

 ここで、疑問がひとつ。永井さんはワークショップなどの席で参加者に質問をするんですよね。なぜその商品を買いたくなったのか? と。その答えとして「機能の多さ」を挙げる人はほとんどいないとか。なのに、なぜ企業は機能をどんどん追加していくのでしょうか?

永井: パナソニック(旧社名:松下電器産など)の創業者・松下幸之助さんの「水道哲学」にとらわれているからではないでしょうか。水道哲学とは「水道の水のように、商品を無尽蔵に、タダ同然の価格で提供していこう」という考えのこと。

 松下さんがこの「水道哲学」を提唱したのは1932年なので、今から82年前のこと。人類が幸せになるためにはどうすればいいのかを考え抜かれました。そして、当時は貧困な時代なので水道水のように商品を潤沢に提供すべきだと言ったんですよ。つまり、前提条件が貧困な時代。しかし、今は潤沢な時代ですよね。もし、松下さんが今の時代に生きていたら、「人類が幸せになることは〜〜」という部分は同じで、その後の「貧困な時代〜〜」が違ってくるので「商品を潤沢に提供」とは言わないはず。

 時代背景が全く違うのに、いまでも多くの企業は「なるべく安く多機能なモノをどんどん提供しなければいけない」という呪縛から抜け出せていません。今の時代は逆なんですよね。お客さんのニーズを断捨離(だんしゃり)しなければいけません。お客さんを絞って、その人たちに価格が高くても光輝くモノを提供しなければいけません。

土肥: なるほど。

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