組織の仕組みやルールは、当然、組織が円滑に機能することを目的に作られているはずです。しかし実際には「どうしてこんなルールを作ってしまったのか」というような残念なケースが数え切れないほど存在します。
ですから、ルールを設定したり、仕組みを作ったりするときには慎重に……という当然の話になります。しかし仕組みやルールが恐いのは、「一度作ってしまったら、なかなか変えられない」ということです。
組織が用意した枠組みが間違っていようが、機能していなかろうが、ルールだから守らないといけない、仕組みだからそれにのっとらないとならないという具合になっていき、徐々に組織が硬直化していきます。
さらに厄介なのは、そういう状態は良くないと感じていても、ルールを変えたり、仕組みを整え直したりする手間を考えると「何もしないほうが得策だ」と考えてしまう人が少なくないことです。
利害関係者を洗い出し、それぞれに対していろいろな調整をし、一度決定したことを覆して、新しいことにトライする。書いてしまえば簡単ですし、できている組織から見たら「なぜそんな単純なことが出来ないのか」と、笑ってしまうようなことですが、それができない組織も、たくさんあるのです。
全体最適を考えるとルールを変えてしまうほうがいいけれど、自分たちの属している組織における調整の手間と、得られる利益を考えたら、部分最適がされている今の状態でも良い。そう考える人が出始めると、目も当てられない惨事が待っていること請け合いです(それってよくある話だよね、という声がたくさん聞こえてきそうです)。
「そういう仕組みやルールが出来上がってしまったものは仕方ない。そういうことが起きない組織を作るべきだ」そう言うのは簡単ですが、なかなか一筋縄ではいかない。
ということで、ここでは最悪なルールに上司として立ち向かう方法を最後に考えてみましょう。ポイントは2つあります。まず「調整役を買って出る」ことです。自分が部下だった時代を思い出してみてください。調整で一番面倒なのは、利害関係のそれです。
しかも、自分よりも役職が上の人に対して調整をすることは至難の業。自分たちの部下も、それが嫌で関係部署への連絡や相談、調整を怠っているケースは少なくないはずです。それは上司の役割だと思って、積極的に引き受けるべきでしょう。
もう一つは「部下を徹底的に守る」ことです。自分の力を最大限利用して、部下のサポートをする。単純な話なのですが、できてない上司は意外に多いのです。もちろん、組織全体のことを考えると、部下を保護する、彼らの言い分を鵜呑みにしてばかりいる、というわけにはいきません。しかし、部下が十分に力を発揮するためにサポートする仕事は、直属の上司であるあなたしかできないのです。
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