日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。
プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)が大きな盛り上がりを見せている。セ・リーグのCSファイナルステージでは2位・阪神タイガースとリーグ優勝を決めた巨人の対戦カードが実現。この記事が掲載されるころには日本シリーズ進出をかけた「伝統の一戦」の勝敗に、きっと多くの人が一喜一憂していることだろう。
しかし、そんな両軍の対決を恨めしそうに見つめているチームがある。全3戦が予定されていたCSファーストステージで阪神と対戦し、1敗1引き分けとなって第2戦で敗退したセ・リーグ3位の広島カープだ。
10月12日の同ステージ第2戦ではスコアレスのまま迎えた延長12回表を終えた時点で規定によりコールドゲームとなり、この試合では負けなかったもののファイナルへ駒を進めることができなかった。なんとも消化不良な形で迎えた終戦にがっかりしている鯉党はゴマンといるはずだろうが、ため息をついているのはカープの球団関係者たちも同じである。
今年のレギュラーシーズンにおけるカープの戦いぶりは、周囲に大きな期待を抱かせるに十分なものだった。夏場までリーグ首位の座をキープ。それに伴って「カープ芸人」や「カープ女子」なる言葉が各メディアに取り上げられるようになり、世にカープファンが急増した。実際に今年レギュラーシーズンのホームゲーム観客動員数(今年も昨年も同じ72試合)は190万4781人と前年に比べて33万9183人増。実に21.7%もアップしたことになる。
それだけに球団側はファンの熱い支持を受けながら23年ぶりのリーグ優勝を今年の悲願としていた。実は、これに大きく連動する「2つの皮算用」を目論んでいたからである。ところがチームは夏場を過ぎると急失速。巨人にリーグ優勝をかっさらわれたばかりか、CSファーストステージの本拠地開催権がかかった2位の座までも最後はわずか0.5ゲーム差という“ハナ差”で阪神に奪われてしまった。その上、逆転日本一へ最後の望みをかけたCSでもファーストステージであっさりと敗退。これで描いていた「2つの皮算用」のシナリオも吹っ飛んでしまったのだから、球団側が受けたショックは計り知れないものがある。
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