缶コーヒー市場に“2つの潮流”――ダイドードリンコの高松社長に聞く仕事をしたら“缶コーヒー”ができた(1/6 ページ)

» 2014年11月04日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 喫茶店でタバコを吸いながらコーヒーを飲む、駅の売店でサラリーマンが腰に手をあてながらコーヒー牛乳を飲む――。

 1990年代前半くらいまではこうした光景をよく見かけたが、2000年以降はシアトル系コーヒーの普及によって、コーヒーはゆっくりと時間をかけて過ごすモノに。オフィスや自宅でもない“サードプレイス”としてのカフェ利用が、若者を中心に広がっていった。

 その後、ファストフードでの低価格コーヒー、2013年にはコンビニでのカウンターコーヒーがそれぞれヒットするなど、“1杯のコーヒー”をめぐって各社の競争がますます激しくなった。その一方で、缶コーヒー市場は成熟し、横ばい傾向が続いている。市場が伸び悩む理由として「コンビニのカウンターコーヒーの影響を受けたから」「タバコを吸う場所が減ったので、缶コーヒーを飲む機会が減ったから」「若者のカフェ利用が増えたから」といった声があるが、飲料メーカーも指をくわえて見ているだけではない。

 サントリー食品インターナショナルはボス史上“最高峰のコク”を実現した「プレミアムボス」(115円、税別)を発売、キリンビバレッジは高価格の「キリン 別格 希少珈琲」(200円、税別)を11月に発売した。

 プレミアム感を打ち出した新たな市場をつくりだそうという動きがある中、ダイドードリンコがちょっと変わった商品を発売した。それは「ダイドーブレンド 泡立つデミタス エスプレッソ」(130円、税別)。缶を振るだけで、本格的なエスプレッソを味わえる商品だが、同社はなぜこのようなユニークな商品を開発したのか。また、現在の缶コーヒー市場を、どのように分析しているのか。新商品の開発にも携わった高松富也社長に話をうかがった。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。

高松富也(たかまつ・とみや)氏のプロフィール:

 1976年6月生まれ。2001年3月京都大学経済学部卒業後、同年4月に三洋電機入社する。2004年4月にダイドードリンコ入社。

 2008年4月、取締役 営業本部副本部長兼販売会社統轄部長、2009年4月、常務取締役 営業本部副本部長 兼販売会社統轄部長、2010年3月、専務取締役 営業本部長 兼人事総務本部長、2012年4月、取締役副社長 営業統括本部長 兼マーケティング本部長 兼人事総務本部長などを経て、2014年4月、代表取締役社長に就任。


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