輸出量7年で42倍! ニッカウヰスキーが海外で売れている&売ることができるワケ仕事をしたら“ウイスキー”が売れた(4/6 ページ)

» 2014年11月26日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

ウイスキービジネス特有の課題

竹鶴政孝がつくったウイスキーが国内だけでなく、海外でも売れている

土肥: 日本では、ドラマ『マッサン』効果もあって売れている。海外では、国際的な賞の受賞もあって売れている。ここで、ウイスキービジネス特有の課題が出てきますよね。それは「在庫管理」の難しさ。ウイスキーは時間をかけて熟成させるので、つくり始めてから出荷するまで10年ほどかかってしまう。日本で売れて+海外でも売れて、となると対応するのが難しいのではないでしょうか。

楫: 難しいですね。ウイスキーは、発酵・蒸留したあと、貯蔵に長い期間が必要です。例えば「竹鶴17年」なら、製品になるまでに17年以上待たなくてはならないんですよ。

 なので、「いまドラマの影響でウイスキーブームが起きている。じゃあ、どんどん売ろうよ」「海外の人たちがニッカの商品を話題にしている。じゃあ、じゃんじゃん売ろうよ」というわけにはいきません。どんどん、じゃんじゃん、売るのは簡単なんですよ。でも、それをやってしまうと、将来ウイスキーをつくるための原料がなくなってしまう。クルマに例えると、アクセルを踏みこんで、スピードを上げてばかりいてはダメ。アクセルとブレーキをきちんと踏んで、うまく操作しなければいけません。

土肥: うーん、それは悩ましい問題ですね。客が「竹鶴を飲みたい」「余市を買いたい」と思っているのに、それを売ることができないなんて。いや、売ることはできるんだけども、倉庫には一定量を残しておかなければいけない。

 ウイスキー事業に携わっている人からは、文句が出てくるのではないでしょうか。「目の前に客がいるのに、売ることができない。売上成績が伸びないのは、私たちの責任ではないですからね。昔の人たちがちゃんとつくっていないから、こんな事態になったんだ(怒)」といった感じで。

楫: それは全くの逆ですね。

土肥: 逆?

楫: 自分の成績を上げるために、ウイスキーをどんどん売ったとしたらどうなると思いますか? 先ほども申し上げたとおり、将来ウイスキーを販売できなくなってしまうんです。今の私たちの仕事は、10年後、20年後の後輩たちに“たすき”を渡すことでもあるんです。できるだけいい状態にして、ウイスキーの仕事をしてくださいねといった感じで。

土肥: ということは……。

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