川乃: ド定番を攻めることは、ものすごく大切。「ハンバーグ弁当」のハンバーグがおいしくなったら、お客さんは「また買おう」となる。いわゆるリピーターになるんですよ。でも「ハンバーグ弁当」のハンバーグの味が昔のままだったら、「じゃあ、他のコンビニのモノを買おう」となりますから。
となると、「ハンバーグ弁当」の売り上げが落ちるので、店舗側は発注を控えますよね。結果、「ハンバーグ弁当」を買いに来たお客さんが「ハンバーグ弁当」を食べることができなくなるんですよ。
土肥: 悪循環に陥るわけですね。
川乃: ドーナツに話を戻しますが、セブンはミスドの“定番に近いモノ”を発売する。誰に何を言われようが、とにかく「自社で開発した」と言い切るわけです。一方の競合他社は、定番ではなく、枝葉のモノを発売するかもしれません。
土肥: あっ、なるほど。「ハンバーグ弁当のにんじん」のような感じで。
川乃: はい。
土肥: 競合他社は「ウチは、他社がこれまで扱っていない独自の商品を開発しました」とアピールする。しかし、それが売れなければ、次にド定番を発売するということですね。
川乃: いい感じで、ブレてますねえ(笑)。セブンのドーナツをみると、誰が見ても「ミスドの商品に似ているなあ」と感じるはず。しかし、セブン側は「基本的には独自に開発している」と反論しています。つまり、堂々とブレていない。こうした小さなことが積み重なって、セブンはコンビニ業界の“王者”に君臨し続けているのでしょうね。
(つづく)
連載「仕事をしたら○○が見えてきた」が、『ササる戦略』(三才ブックス)というタイトルで書籍化されました。
「なぜミニストップのソフトクリームは真似されないのか?」「50年以上前に発売された『スーパーカブ』が、いまも売れている理由」など、業界が注目する12社から“ヒットの法則”を紹介しています。
ビジネス書が苦手……という人でも大丈夫。商品を開発した人はどのような苦労があったのか。その商品を売る人はどのような工夫をしたのか。マーケティングや消費者の行動などを分かりやすく解説していますので、オススメの1冊です!
→『ササる戦略』
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング