「ファストフード」と聞けば、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンなど海外の企業が日本に“上陸”したイメージを持つ人も多いだろう。しかし、日本発のファスートフードが海外に“進出”して、売り上げや店舗数を伸ばしているケースが増えているのだ。
その中のひとつが、ハンバーガー専門店として日本の味をウリにしている「モスバーガー」。運営しているモスフードサービスは、アジアを中心に8カ国・地域に進出し、2014年3月末現在で321店舗を展開している。中でも、台湾だけで235店舗にも達し、現地でファストフード業界2位のポジションを確立しているのだ。
台湾ではどんな商品がウケているのだろうか。味噌と醤油を使った「テリヤキバーガーでしょう?」と思われるかもしれないが、実は違う。同社は1991年に台湾に1号店をオープンした際、日本での定番「モスバーガー」や「テリヤキバーガー」を主力に位置付けていたが、なかなか受け入れてもらえなかった。モスバーガーの特徴のひとつに、シャキシャキした食感の新鮮野菜があるが、現地の人たちには敬遠されたのだ。
日本では新鮮な野菜を好む人が多いのに、なぜ台湾の人たちは口に入れてようとしなかったのか。「当時の台湾では、生野菜を食べる習慣がありませんでした。なので、テリヤキバーガーなどに挟まれている生野菜に抵抗感があったのでしょうね」(同社広報)
日本の主力商品が通用しない。このままでは撤退することになるかもしれない――。焦りを感じた同社は、次の一手を考えた。そこで白羽の矢を立てたのが、日本でも発売していた「ライスバーガー」。焦げ目の入ったコメで「焼き肉」や「しょうが焼」を挟んだ商品が、現地の人たちに評価されたのだ。
日本でのライスバーガーの売り上げは、全体の5%未満にとどまっているが、台湾では15%以上を占めるほどの人気ぶり。日本では“脇役”の商品が、なぜ海外で“主役”を張ることができたのか。同社で国際事業を担当する青木賢二さんと、商品開発を担当する寺本和男さんに話をうかがった。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。
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