「ラブ・ホーム・スワップ」も「リフト」も同じインターネットの特質をビジネスモデルに利用している(LHSはロンドンが本社)。需要と供給を一致させるマッチング、分かりやすく言うと「出会い系サイト」だということだ。LHSは「トウキョウに来たいロンドンに住むレイチェル」と「ロンドンに行きたいトウキョウに住む烏賀陽」を引き会わせた。
本来、インターネットがなければ両者は出会うはずがなかった。その存在すら知ることはなかったのである。リフトは「クルマに同乗者を乗せても良いドライバー」と「移動手段が必要な人」を出会わせる。これもインターネットがなかったらありえないマッチングである。英語では「出会いを取り持つ人」を「マッチ・メーカー」という。LHSもリフトも文字通り(マジメな話)「マッチ・メイキングサービス」=出会い系サイトなのである。ネット時代以前でも、ダイヤルQ2のような「出会いメディア」はあった。ネットは、その「出会いの規模が地球規模に拡大している」ところが革命的である。
ええ話やなあ。やっぱりインターネット万歳じゃないか。
いやいやすみません。ひとつだけ暗い話を。このネット・マッチメイキング産業が発達すると、旧来の産業から「ルーザー」(負け組)が出るのは避けられないのだ。
例えば、私とレイチェルがロンドンと東京でホテルで泊まらなかったおかげで、ホテル産業は2つの商機を失ったことになる。リフトでは、P地点からQ地点まで、ドライバーAさんがB、C、Dさんの3人を乗せたとすると、本来4台走るはずだった自動車が1台しか走らなかったということだ。ガソリンの需要は減るだろう。クルマも売れ行きが落ちるに違いない。旧来型の産業にとっては市場縮小である。その芽はすでに生えている。
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