こうなるとストロー現象という言葉は、誕生したときの「四国の皆で頑張ろう」という意図とは離れてしまったように感じられる。新幹線開業前は「人々を不安に陥れ、それによって何か利益を得ようとする者」が喧伝している恐れがあるし、新幹線開業後は、「マイナス要因がストロー効果である」と結論付けてしまい、そのマイナス効果の真の理由を探るきっかけを失う。
この言葉の罪は予言者の惑わしと同じだ。予言者が「10日後に火事が起きる」と予言する。火事が起きれば「予言通り」。火事が起きなければ「予言のおかげで皆が注意したから」となる。予言者は当たっても当たらなくても尊敬される。
ストロー現象を恐れて「街の魅力を高めよう」と行動するぶんには良い。しかし過度に不安を煽ったり、マイナスの事象に対する「あきらめ」として使ってはいけない。ストロー現象は、実際には存在しない痛み、幻痛(ファントムペイン)だ。ストロー現象という言葉を有力者が使い始めたら、その意図を疑ってみる必要がありそうだ。
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