「サマータイム」がもたらす1年で“最も危険な日”人に話したくなるコラム(1/4 ページ)

» 2015年03月26日 08時00分 公開
[藤井薫Business Media 誠]

著者プロフィール:

藤井薫(ふじい・かおる)

 大学を卒業後、広告代理店や出版社を経てライターに。

 『POPEYE』『an・an』(マガジンハウス)や『GLAMOROUS(グラマラス)』(講談社)などで、ファッション、ビューティ、ビジネスなど幅広い記事をカバー。日本と海外を頻繁に行き来して、海外トレンドを中心に情報発信している。

 そんな思いをベースに、世界の企業動向や経営哲学をはじめ、それをとりまくカルチャーやトレンドなどを中心にして、思わず誰かに言いたくなるようなネタを提供していくコラムです。


 米国では3月に、1年で「最も危険」と言われる日がやってくる。

 そんなことを言われると、いったいどんな恐ろしいことが起きる日なのだろうかと心配になるが、おそらく日本人には想像も付かないだろう。

 その日とは、「デイライトセービングタイム」が開始された直後の月曜日のことだ。この日は、交通事故、職場でのケガや心臓発作などが、増加するといわれている。

 過去に日本でも導入が検討されたことがあるデイライトセービングタイム。日本でも耳にしたことがある人も少なくないだろう。デイライトセービングタイムとは、省エネの観点から、一部の国で導入されている、いわゆる「サマータイム」のことを言う。日照時間が長くなる春先から秋までの間、時計を1時間早めて電力消費を削減する目的で行われているシステムだ。

 デイライトセービングタイムの開始日時は、実施している国によって異なる。2015年は米国(ハワイ、グアム、アリゾナ州(1部地域を除く)では導入していない)、カナダ、キューバなどで3月8日(3月の第2日曜日)に、英国やヨーロッパ諸国では3月29日(3月の最終日曜日)に、国民は1時間という時間を失う。

 米国では、1918年からデイライトセービングタイムが採用されている。実は、実施期間が現在のような長期(3月の第2日曜日から11月の第1日曜日まで)になったのは、つい10年ほど前だ。2005年に高騰する石油輸入価格に対応するため、ジョージ・W・ブッシュ政権下で成立された「2005年エネルギー政策法」で改正された。この法案によりデイライトセービングタイムの実施期間が1カ月引き延ばされた。

 だが近年、8カ月という世界でもっとも長いデイライトセービングタイムを実施している米国で、その効果に対する懐疑的な声が高まっている。それどころか、デイライトセービングタイムというシステムの継続に反対する意見もあり、廃止させようとする動きも出始めている。

欧米などでデイライトセービングタイムが導入されているが、継続に反対の声も出ている
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