勘の良い人はすでに気がついてしまったかもしれません。本日のコラムのテーマである「長く働き続けるために、あなたができること」とは、極論すれば「仕事のえり好みをしない」ということに尽きてしまいます。高齢化社会がさらに進み、労働力人口が不足する。しかし一定規模の労働力が必要なことには変わりがありませんから、誰かが「働かざるを得ない」のです。だからというのも変ですが、多くの人が「長く働くこと」を求められる世の中になる。
ただ、それがなかなか難しい。働くことが人生の全てではない、頭ではそう分かっていても、できることなら起きている間の多くの時間を費やす「仕事」は、できる限り自分の満足のいく、そして他者にも誇れるものであってほしいと、誰もが願うものだからです。やりたくないことを仕事にしたところで、長続きしない可能性も高い。それなのに「人が足りないから働いてください」といわれても、ちょっと無理な相談です。
こんなことを書くと「不景気になったら、仕事が減る。ということは、働きたくても働けない時代がまたくるじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、幸い今後は、不景気になっても、人が必要な領域での仕事がさらに増えます。例えば医療や介護の領域はその典型例でしょう。景気が悪くなったところで、高齢者が減ることはないのですから。
改めて本日のコラムのタイトルをじっくりと見てください。長く働き続けるために、あなたが「今」できること、とあります。長く働くことはどうやらできる時代が来そう、しかし、そのためには「今」から準備が必要――そういうことなのです。
長く働き続けるために「今」しておくべきこととは何なのでしょうか。
一つは「求められる人材になるべく、能力を獲得しておくこと」です。ある種の専門性を持っている、もしくは余人には代え難い能力があるという人は、間違いなくずっと求められる人材ですから、自分が働きたい場所で、長く働くことが可能でしょう。
しかし、すべての人がその能力を獲得できるかというと、それには無理がある。当然、本人の努力も必要ですが、それだけではままならないことも少なくない。特に、このコラムを読んでいる中間管理職の皆さんの中には、今までのキャリア形成が「今働いている組織の中でしか通用しない」もので、もう修正が効かないところまで来ているという人も少なくないでしょう。今から頑張れといわれても、うまくいかない可能性もある。
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