新天地でも“転校生”ではない、イチローのハイレベルな「EQ」赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2015年04月09日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

ビジネスパーソンにとっても必要な要素

 春季キャンプでは他にもイチローの高いEQが如何なく発揮される場面が多々見られた。中堅を守る24歳のマーセル・オズナ外野手はドミニカ共和国出身。母国語はスペイン語だ。そのオズナにイチローはスペイン語で話しかけると、2人はあっという間に意気投合。17歳の年齢差と言葉の壁などまったく感じさせず、今では互いにボケや突っ込みを入れ合うまでの関係になっている。オズナはこう言う。

 「イチローに英語で話しかけようと思ったら、いきなり向こうから流暢(りゅうちょう)なスペイン語で『オーラ! ケ・タル?(やあ、調子はどうだい?)』だったからね。彼は普通の会話レベルならば、問題なくスペイン語を話せるよ。聞くところによれば、イチローは独学でスペイン語を勉強したらしいからね。だから彼に負けないように自分も今、がんばって必死に日本語を勉強しているところさ」 

 マーリンズの地元紙『マイアミ・ヘラルド』など複数の地元メディアでも報じられたように、イチローはスペイン語でトラッシュトーク(試合前や試合中に挑発し、相手選手の心理面を揺さぶること)まで駆使することができるらしい。このように彼がトリリンガルのメジャーリーガーであることだけでも十分な驚きだが、やはり特筆すべきは場の空気を読みながらそれらの術をうまく使い分けて順応するEQの値が高いことであろう。

 振り返ってみれば、マリナーズ時代のイチローは数々の栄光を築き上げた「キング」でありながら一部のチームメートからはカリスマ性があり過ぎるが故に存在を疎(うと)まれ、周囲とミゾができていたのもまた事実であった。

(出典:マーリンズのFacebook)

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