「ゴーストライター」のホントのお仕事出版社のトイレで考えた本の話(6/6 ページ)

» 2015年07月09日 08時00分 公開
[堺文平ITmedia]
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とはいえ、法律の上では問題も

 こうした説明はできるものの、「ゴーストライター」には法的にグレーの部分もある。著作権法上は、本を実際に書いたライターが「著作者」という解釈があるからだ。ただ、「ゴーストライター」がもし法的に認められなければ、面白いものを持っているのに「忙しい」「文章が書けない」という人たちのノウハウや知識・経験などをまとめて読めなくなってしまう。これは個人的には大きな損失ではないかと思う。

 一方で、日本の商習慣であれば「ゴーストライター」方式でつくられる本も、米国などでは著者とライターの2人が「著者」としてクレジットされる場合が多く、その形できちんとベストセラーも出ている。これから本を取り巻く商習慣がどう変わっていくか分からないが、出版社としては、少なくとも「本来は著者本人が書くのがスジである」という原則論を忘れてはいけないだろう。

著者プロフィール:堺文平(さかい・ぶんぺい)

 編集系の制作会社を経て、中小および大手出版社で主にビジネス書・実用書・語学書や雑誌の編集制作などを担当し、断りたかったけど断りきれずにウェブ担当も手がけてしまう雑食系編集者。なし崩しと安酒が飲める話と眠気に弱い団塊ジュニア世代。

 仕事を離れて読むのはサイエンス読み物、新書、マンガなどを少々。最近の趣味はダイエットおよびリバウンド。村山実・中村勝広・吉田義男(第3期)などが率いた暗黒時代の阪神タイガースで、甲子園での観戦勝率7割を誇ったことが人生における唯一の自慢である。


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