青春18きっぷ、特例を廃止して値下げしないか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/5 ページ)

» 2015年07月24日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

当初はわずかだった制限事項

 1982年春に販売された「青春18のびのびきっぷ」は、冊子型で4枚綴りだった。1日券が3枚、2日券が1枚で8000円。同年の夏は冊子型で5枚綴り、1日券4枚と2日券1枚となり、価格は1万円。翌年春に名称が「青春18きっぷ」となり、夏からは同価格で1日券5枚となった。利用期間が1日短縮され、実質的な値上げとも言えた。この仕様が現在も続いている。現在の料金は1万1850円だ。

 冊子タイプ時代の青春18きっぷは、表面と裏面に注意書きがあった。しかしその内容は現在に比べると単純だ。表面は「普通列車の普通車及びホーバー以外の連絡船の普通船室に限ります」「乗車船前に駅や旅行センター、旅行会社で必ず乗車船日の記入を受けてください」「○月○日までにお使いください」。裏面は表面の詳細を再掲し、さらに「1枚ずつ切り離して使えます」「乗車船日が翌日にまたがる場合は、0時を過ぎて最初に停車する駅まで有効」「全券片が未使用の場合のみ発売した場所で払い戻し可能」という説明を加えていた。

 その後、「無人駅から乗車する場合は車掌に乗車日を記入を受けよ」「列車の運行不能による払い戻しはしない」などの項目が追加される。現場のトラブル報告を受けて明記したという印象だ。1990年に青春18きっぷは自動発券機に印刷するタイプが登場する。冊子型を踏襲したタイプで、1日券が5枚、表紙とご案内が1枚ずつ。注意書きは1日券とご案内に記載された。

 ホーバーとは宇高連絡船(宇野駅〜高松駅)で運行していたホーバークラフトによる急行便である。また、現在はグリーン券の別途購入で利用可能な普通車グリーン車は、当時利用できなかった。これだけでも注意書きとしては多い。ただし一般的な乗車券の効力に関する最低限の事項だ。

3年前に私が購入した「青春18きっぷ」。左上がきっぷ本体。説明書の「ご案内」が3枚、アンケート用紙と記入の注意が1枚ずつ。これに同じサイズの領収書が付いてきた 3年前に私が購入した「青春18きっぷ」。左上がきっぷ本体。説明書の「ご案内」が3枚、アンケート用紙と記入の注意が1枚ずつ。これに同じサイズの領収書が付いてきた

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