地域に愛されている電子マネー――Edyアイランド・沖縄最新事情(後編) :神尾寿の時事日想・特別編(3/3 ページ)
日本で最もEdyが使われている沖縄県。老若男女が「現金のように」Edyを使っているが、なぜ沖縄で電子マネーが盛り上がっているのだろうか。また“沖縄モデル”をほかの地域で展開することはできないのだろうか?
“地に足が付いた”電子マネーの普及
沖縄におけるEdyの普及は、「ANAマイルが訴求しやすい離島であること」「地域全体のクレジットカード利用率が低い」「地元経済の連携・結束が強いこと」などが、追い風となって働いている。さらにビットワレット側が、それらの地域事情をしっかり読み取って、「おサイフケータイを無理に訴求せず現金チャージ環境を整備したこと」や「地元経済に軸足を置いた地道な加盟店開拓を行ったこと」も、成功の要因になったと言えるだろう。いわば、地に足が付いた普及戦略を徹底したことが、沖縄でのEdy普及を後押ししたのだ。
筆者が東京で電子マネー事業者と意見交換をすると、よく「沖縄(でのEdy)は、ちょっと特殊だから」という声を聞く。ビットワレット本社の関係者でさえ、沖縄の事例を特別扱いしてしまい、ほかの地域で同様の展開をするのは難しいと話す人は少なくない。だが、本当に“沖縄モデル”は応用不可能の、偶然的な事例なのだろうか。
実際に現地に足を運び、沖縄でビットワレットが行った展開戦略やEdy加盟店の話を聞くと、沖縄モデルの構成要素はほかの地域でも展開可能だと感じた。特に地方の中小都市で、地域性に合わせた戦略を持って実施すれば、「大都市・交通IC以外での電子マネー普及」が実現できると思う。ビットワレット自らまでもが沖縄での事例を特殊性のひとことで片付けるのではなく、その構造をしっかり解析し、沖縄モデルをほかの地域での展開が可能なビジネスモデルに昇華すべきだ。
電子マネーがキャズムを超えて広く一般普及する上で、Edyの沖縄モデルは多くの示唆に富んでいる。今後に注目していきたい。
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