「後追いauから、先行くauへ」――高橋誠氏に聞く、KDDIの“次の一手”(後編):神尾寿のMobile+Views(4/4 ページ)
携帯電話市場は変革期にさしかかり、インフラの高速化やユーザーニーズの多様化、端末の高機能化を考慮した新たなビジネスモデルの構築が急務となっている。夏モデルで“先行くau”を目指すというKDDIは、2009年をどんな戦略的位置づけとし、今後10年をどんなビジョンで戦うのか。取締役執行役員の高橋誠氏に聞いた。
“auの約束事”は、ユーザーに発見してほしい
ITmedia auはこの1〜2年、これまで築き上げたブランドが大きく揺らいでしまい、今はその建て直しをしています。しかし、「次のau」がどのような姿になるかのかも重要です。
高橋氏 我々は「auの約束事」を社内で再定義しました。auブランドとは何か、そのために必要な約束事を、再定義したのです。
ITmedia 建て直しではなく、再定義したのですね。
高橋氏 そう、新しいauとして再定義しました。でも、僕が自分で「これがauの再定義だ」というとおもしろくない。ユーザーのみなさまに、「これが新しいauだよね」とその定義を見つけていただけるまで、頑張っていきたい。だからあえて宣言しません。お客様に(新しいauを)発見していただきたいのです。
ITmedia その定義は、社内では共有されているのでしょうか。
高橋氏 社内浸透を必死でやっているところです。また端末メーカーやコンテンツプロバイダ、販売会社などステークホルダーの皆様とも共有しなければなりません。「auである理由」をコンテクストにしていく。その上で、再定義されたauをお客様に感じていただけるようにしたいのです。
LTE時代も「auらしさ」で戦っていける
ITmedia 2009年、auは逆境を覆すために大きく動き出したわけですけれども、高橋さんにとって「2009年」はどのような戦略的位置づけを持つ年になるのでしょうか。
高橋氏 まず夏商戦でいえば、ここは「リターンマッチ」。先ゆくauを体現していく。料金プランでも“攻め”に転じることができたので、商品力や店頭競争力はかなりあると考えています。
また、現時点では投入できていませんが、今年から来年にかけてAndroidなどのオープン化が大事な時期になってきます。「KDDIとしてのオープン化」をしっかり定義づけしていかなければなりません。
ITmedia 2010年か2012年頃まで、LTEまでのビジョンは?
高橋氏 LTEまでのロードマップはすでに出しましたが、当面はRev.Aの改良でいく。2010年頃にマルチキャリアRev.Aを導入して、LTEにシフトするアプローチです。ドコモは2010年度にLTE導入の方針を打ち出していますが、当初から携帯電話への搭載で完璧なものになるとは考えにくいので、マルチキャリアRev.AとモバイルWiMAXの併用で十分に対抗できるでしょう。
ITmedia LTE時代になると、通信方式はドコモと横並びになります。そこでKDDIの優位性は出せるのでしょうか。
高橋氏 日本市場はやはり(水平分業ではなく)トータルでのキャリアらしさが求められます。ですから、インフラや通信方式の部分だけで競争優位性が決まるわけではありません。auらしさをきちんと打ち出すことで、我々の優位性は出せると考えています。
特に音楽・映像やスポーツ、電子ブックなどコンテンツ分野のプラットフォーム化では、auが先陣を切ってやっていく。それらの部分で、LTE時代にもauらしさをきっちりと作っていけるでしょう。
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