検索
コラム

ローソンのさぬきうどんが狙う“ウォレットシェア”(3/3 ページ)

ローソンがコンビニで初めて“できたてうどん”の販売を開始した。その背景にあるものは一体何だろうか? その深謀遠慮を推測し、モノが売れない時代に業績を向上させるマーケティング戦略を考えていこう。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
INSIGHT NOW!
前のページへ |       

コンセプト次第で戦場は一変する。自社を近視眼的な呪縛から解き放て!

 企業にとって同業他社ばかりを相手にして事業を展開するのは近視眼的と言える。「顧客は自分のニーズを満たすために商品やサービスを利用する」という観点に立てば、企業は「製品コンセプトを中心としたフィールドで戦いが繰り広げられる」という認識を持つ必要があるだろう。

 例えば、私は1つの事業としてビジネススクールを運営しているが、ライバルをほかのビジネススクールと考えたことは実際あまりない。「手軽にビジネスに役立つ知識が習得できるスクール」というコンセプトを掲げているために、どちらかといえばビジネス書と同じフィールドで顧客のウォレットシェアを奪い合うというイメージで事業を展開しているのだ。

 最終的にはビジネス書と同程度の価格でそれ以上のメリットを提供することがスクールの目的となる。だから、高い受講料で高度な知識やスキルを伝えるというビジネススクールとは同じ業界かもしれないが、もともとビジネスモデルや事業コンセプトを異にするためにライバル関係にはないのである。

 同じようにどの企業でもこれまでの既成概念に基づく業界のくくりではなく、自社が提供する製品やサービスのコンセプトから“戦場”をとらえ直すとビジネスモデルが一変する可能性もある。

 ちまたにモノがあふれ、ほとんどの市場が成熟して売れにくくなった昨今、同じ業界で事業を展開するライバルばかりを注視する近視眼的なマーケティングを実践してマーケットシェアを奪い合うゼロサムゲームでは限界が見えている。

 それよりも、コンセプトに基づいて業界を越えたフィールドへ切り込み、ウォレットシェアを向上させていくマーケティングを実現すれば、市場は無限に広がり現状の閉塞感を打開することができるのではないだろうか。(安部徹也)

 →安部徹也氏のバックナンバー

前のページへ |       

Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.

ページトップに戻る