市民生活や社会インフラのグリーン化に寄与する「Green by ICT」
Green by ICTでは、高知の鉄道・バス会社である土佐電氣鐵道とバス会社の高知県交通の交通エコポイントシステムによる市民参加型モーダルシフトの事例や、サンリオの帳票の電子化によるペーパーレス化の事例、インク使用量を大幅に削減するエコプリンティング技術「InkFit ECO」(参考出品)などが展示デモされた。
市民参加型モーダルシフトの事例は、SuicaやPASMOなどと同様の非接触型プリペイドICカード「ですか(DESUCA)」に記録される公共交通機関の利用実績情報に基づいて「交通エコポイント」を算出。その数値を利用者に公開することでモーダルシフト(環境への貢献)へのモチベーションを高めるとともに、ですかの利用実績に応じた「ですかポイント」を個人に還元することで、利用者にもモーダルシフトのメリットを還元するというものだ。このシステムの導入により、公共交通機関の利用活性化とともに、運用開始から約1年間でCO2排出量を約2430トン削減(マイカー利用との比較)したとしている。
InkFit ECOは、印刷の画質を劣化させることなくインクの使用量を削減する技術。シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色重ね合わせで表現しているグレースケール(白から黒までのグレー階調)をカラーマネジメント処理によって検出。その部分の印刷はすべて黒(K)に担当させる。このため、Kのインク使用量は増えるが、グレースケールを表現するためのC/M/Yの3色重ね合わせ印刷は不要になるため、トータルでは約20〜30%インク使用量を削減できるという。なお、カラーマネジメント処理はソフトウエアで実行するため、プリンタ側は現在の機器をそのまま利用できる。
社会インフラにおけるGreen by ICTの一例と言えるのが、スマートグリッドやマイクログリッド。富士通フォーラム2010では富士電機ホールディングス傘下の企業(以下、富士電機)と連携したスマートグリッドのソリューションも参考出展されていた。
スマートグリッドやマイクログリッドは、電力の需給バランスをリアルタイムで調整・制御することによって実現される。そのためには、個々の需要家が消費する電力をリアルタイムに計測するスマートメーターや、個々のスマートメーターからネットワークを介して収集した電力需要データの集計、それらに基づいた電力供給(発電・送電)制御など、ICTの高度利用が欠かせない。
スマートグリッドソリューションのブースでは、スマートグリッドの領域マップ(全体像)や富士通と富士電機の取り組み領域などがパネルとスライドで解説されていたほか、京都府の「京都エコエネルギープロジェクト」(新エネルギー・産業技術総合開発機構〔NEDO〕の委託研究事業「新エネルギー等地域集中実証研究」として実施)で富士電機が受け持っている同時同量システム(電力の総需要と、再生可能エネルギーによる発電電力+電力会社から購入した電力を同時同量に調整・制御するシステム)の実証データなども展示デモされていた。
「京都エコエネルギープロジェクト」で富士電機が担当した同時同量システムの実証データ。上の「発電電力」は、風力、太陽光、バイオマス(食品廃棄物から発生するメタンガスを燃料とするガスエンジンと燃料電池)で発電した電力、下の「連系点潮流」は、電力の総需要(総負荷需要:青色)、電力会社から購入した電力(外部購入電力:緑色)、発電電力+電力会社から購入した電力(ピンク)、5分間における同時同量誤差率(赤)などがグラフ化されている
このほか環境関連では、改正省エネ法に対応するSaaS型環境経営ソリューションサービス「SLIMOFFICE AS」(富士通エフ・アイ・ピー)や、RoHS指令やREACH規制などに対応した製品含有化学物質管理ソリューションなども展示デモされていた。
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