Google、テレビとWebが選挙に与える影響を調べ始める:関東の2400人対象
ネット選挙解禁となる2013年の参議院選挙。慶應義塾大学の曽根泰教教授を中心として、Googleらが有権者のメディア接触と政治意識の変化を調べ始めた。
2013年7月21日に投開票が行われる参議院議員通常選挙からいよいよ日本でも本格的なネット選挙運動が解禁となる。Googleは7月10日、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科の曽根泰教教授を中心として、有権者のテレビやネットメディアへの接触状況が投票活動にどのような影響を与えるのかといった動向を調査すると発表した。
この調査では、インテージが提供する「シングルソースパネル」から関東圏の20〜59歳の有権者2400人を抽出。1人ひとりのテレビ視聴内容、Webサイト閲覧状況を自動的に収集するだけでなく、選挙前3回、選挙後1回のアンケート調査も実施する。収集したデータの解析はブレインパッドが担当する。
曽根教授は、「従来型のアンケート調査では、視聴したテレビ番組内容や閲覧したWebサイト情報を個人の回答に頼ることになり、データの裏付けという点で弱かった。シングルソースパネルを活用することで、同じ『人』を対象として自動的に詳細なメディア接触状況を記録でき、それをビッグデータとして解析できるという点で画期的だ」とコメントする。
インテージによれば、テレビ番組の視聴データはテレビに取り付けた装置のボタンを視聴者が押すことで「視聴」とみなし、その音声データをテキストデータに変換して分析する。番組を録画視聴する場合も放送から1週間以内の再生であれば「視聴」とみなしてデータを収集する。
Webサイトの閲覧は、自宅で使っているPC1台を対象(スマートフォン所有者の場合は、スマートフォン1台も対象とする)としてURLとその内容をテキストデータとして収集する。なお、動的に生成されるWebコンテンツや埋め込み動画、ユーザーの書き込み情報などは対象外となる。また、ネット選挙運動で解禁された「メール」も対象外だ。
調査対象は、PCインターネットを利用し、テレビも視聴する、関東1都6県に居住する20〜59歳の男女2400人。調査期間は2013年5〜7月。Googleでは、期間中に実施する4回のアンケート調査とあわせ、メディア接触による支持政党や内閣支持率、重視する政策、政治関心度の変化を調べるという。
関連記事
- 「ネット選挙」ってナニ? 投票率が下がるかも、という声も
次の参議院選挙から「ネット選挙」が解禁になりますが、有権者はナニができて、ナニができないのか。7月4日の公示日前に、確認しておきましょう。 - ビッグデータを使って“票読み”――誰が当選するの?
インターネット選挙の解禁を踏まえ、IT業界ではネット上の膨大な情報「ビッグデータ」を使い“票読み”に生かそうとする試みが進んでいる。検索ワードやブログの投稿から、選挙の「風」がリアルタイムで読めるようになるかもしれない。 - 誰が当選するのか? それは「エリア分析」が教えてくれる
「選挙プランナー」と聞いて、どんなイメージがあるだろうか。多くの人は「候補者を当選させるプロ」などを想像するかもしれないが、仕事内容を詳しく知る人は少ないのでは。そこで選挙プランナーとして活躍している、株式会社アノンの野沢高一氏に話を聞いた。 - 選挙は「3勝3敗」で、勝てる理由
選挙の裏ではさまざまな人間が動いているが、なかでも重要な位置を占めるのが「選挙プランナー」だ。あまり聞きなれない言葉だが、一体どんなことをしているのだろうか。選挙プランナーとして活躍されている株式会社アノンの野沢高一氏に話を聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.