今、なぜ「僕は死にましぇん」? フジテレビが中国で『101回目のプロポーズ』をリメイクする理由:それ、ちょっと気になる!(4/4 ページ)
「僕は死にましぇん!」――武田鉄矢がフジの月9で叫んだセリフは社会現象にもなった。あれから22年。フジテレビが中国映画として「101回目のプロポーズ」をリメイクした。
フジテレビの次なる狙いは「ネットドラマ」進出
最後に、なぜフジテレビが中国映画を製作するのかを聞いた。実は『101回目のプロポーズ』にしても、2003年と2006年に中国や韓国でリメイク版が作られている。リン・チーリンが高校生のときに台湾で見たものも放送権を売ったものだ。
「この企画を担当したときの会社のミッションが、リメイク権や放送権の販売も含む海外番販の飛躍的な拡大でした。そこで何ができるんだろうと考えた結果、見えてきたものが『われわれが最も自信をもっているコンテンツのリメイク権を、現地で必ず成功する信頼できるパートナーに売り、その勝ち馬に乗るためにプロジェクトにも出資する』ということでした」
例えば、リメイク権を制作費の5%で売ったとする。同時に10%の出資を行えば、出資金額の半分は回収できているということだ。作品に対して何のアドバンテージをもっていない状態での単純な出資よりも効率のよい投資スキームといえる。
「それから中国で勝てる、勝てないという分かれ目は、中国側のパートナーの能力に大きく依存することになります。でも、われわれにはキャスティングや脚本製作についてのノウハウがある。プロジェクトに参加することでクオリティを上げることに貢献できます」
実は『101回目のプロポーズ』は、この取り組みの2作目に当たる。第1作は香港映画の『隠婚男女(Mr. & Mrs. シングル)』だった。企画当初はフジテレビのドラマのリメイクとしてスタートしたが、「最終的にまったく違うものになりそうな予感があった」(細貝さん)ため、オリジナル映画として公開した。
この2作を通じて分かったのは、海外進出するならば収益的に勝てるのは中国本土以外にないということだ。香港や台湾、韓国市場を狙っても制作費に対するリターンが少なすぎる。だから中国本土で勝負して、その余波を周辺国に広めていく戦略となった。『101回目のプロポーズ』のように日本でも受け入れられる可能性もある。
「次に狙っているのは中国のネットドラマです。映画やテレビと比べるとネットドラマは規制が少ない。例えば、中国ではホラー映画をオンエアできません。だから、そもそも怖いものの作り方を知らないのです。でもネットドラマならできる。現在進行中のプロジェクトでは、企画、脚本だけでなく演出家も派遣する予定です。われわれに一日の長がありますからね」
もっとも映画を見る側にしてみれば、小難しいことは考えずに楽しめばいいだけだ。筆者と同じ1974年生まれ、38歳のリン・チーリンの愛らしさを見に行くだけでも価値はあるかも。
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