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橋本龍太郎をも盗聴していた米国「経済スパイ」の真実:伊吹太歩の時事日想(3/3 ページ)
米国の国家安全保障局のスパイ問題は次々と新たな疑惑が浮かんできている。「まさか法治国家の米国がそこまでやるとは……」という感想もあるかもしれないが、もともと米国にとって諜報活動は日常茶飯事なのだ。
彼氏彼女の電話を盗聴する「痴話諜報」
ただ今回のスノーデンの暴露では、別のスキャンダラスな話も暴露されている。組織的、国家的な情報収集のみならず、NSAの職員の公私混同ぶりが明らかになっているのだ。職員が監視システムをプライベートで使っていた。
このスキャンダルは、「LOVE」と「INTELLIGENCE(諜報)」を足して「LOVEINT」と呼ばれている。「痴話諜報」とでも訳すべきか。嘘発見機まで駆使したNSAの内部調査によれば、2011年に外国に拠点を置く職員が、外国籍の彼氏とそれ以外に出会った外国籍の男性らの電話記録を調べた。2004年にはNSAの工作員が夫の浮気を疑い、携帯電話にあった外国の電話番号の通話を監視していた。
さらに2003年には、NSAの男性職員と肉体関係をもった女性が、この男性職員から電話を盗聴されている可能性があると当局に相談。内部捜査でこの男性職員はこの件とは別で、外国籍の女性が連絡していた9つの電話を監視していたことが判明した。
内部報告書のためにすべての詳細が判明しているわけではないが、こういう事例から分かるのは、日本人が対象になっていたとしても何ら不思議ではないということだ。外国人であっても通話を監視できていたからだ。
とにかくスパイ絡みの騒動はまだまだ続くだろう。余波ではなく、また別の大波が来る可能性もある。まだ目が離せない。
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