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中国メディアで働くために必須の「政治思想テスト」をやってみた:伊吹太歩の時事日想(3/3 ページ)
情報統制が行われている中国では基本的に報道の自由はない。さらに国内メディア関係者の思想を統制するために、2014年からテストが義務付けられるようになった。その問題を見てみよう。
「メディアは共産党の考えを伝える武器」と明記
いかがだっただろうか。こうした問題にきちんと答えられなければ、中国メディアでは記者になれない。中国政府はメディアを何とかコントロールしようとこんな涙ぐましい努力をしているのだ。というより、このイデオロギーテスト実施のニュースからは、何としても情報統制をしたい中国政府の必死さがひしひしと伝わってくる。
ちなみに教科書にははっきりとメディアに「共産党の考えと政治的思考を伝える武器」になるよう指導がなされているという。さらに中国と欧米のジャーナリズムの違いについてはこう書いてある。「近代化へ向かう道筋はさまざまだ。それゆえに、東洋と西洋に違いがあるのは普通のことだ。進歩には決まった道もないし、道が1つということもない。近代化というのは欧米化を指すのではないし、当然、アメリカナイズすることでもない」
元国家主席の毛沢東は、こんな言葉を残している。「新聞は政治家によって運営されるべきだ」。中国は今、その精神を守ろうと躍起になっている。
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