やるべきことがはっきりしているときに本を読め:東大生はなぜ会社で使えないのか?(2/2 ページ)
読書は、課題認識や自分が知りたいことが明確なときにするべきです。知識は発揮することを前提として頭に入れなければ、なかなか身につきません。本を読む前に「いま、何を知らなければいけないのか」と考えることが非常に大切なのです。
課題別に分類すれば、社会の変化が分かる
我が家の本棚には、書物がテーマ別に並べられています。こうした状況のときには何を読むべきか、すぐに判別できることが目的です。
カテゴリーは、物事の考え方、ビジネス戦略、マーケティング、組織マネジメント、リーダーシップ、歴史観など。一度読んだ本を本当によかったものと、まずまずよかったものに分類し、よくなかった本は手放します。最もよかった本は年末年始やお盆などに、年に1回くらい読み返しています。
1年間に読む冊数は最近少なくなって、200冊くらい。雑誌を含めれば300冊ほどです。社会人になってからの3年間は、毎月の本代が4万円くらいかかっていました。購入した書籍の半分はしっかり読み、残りは必要なテーマのときに読んでいました。
蔵書をカテゴリー別に分けていくと、ある変化に気付きました。2007年頃に本棚を整理していて、どの種類にも入れられない本が1、2、3冊と増えていきました。それらはすべて、ソーシャルビジネスについて書かれた本でした。
ジョン・ウッドさんの『マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった』(ダイヤモンド社)を読んだとき、こう感じたことを覚えています。
「ソーシャルビジネスとは戦略ではなく、価値観の問題なんだ!」
ジョン・ウッドさんの本は私の本棚ではどのカテゴリーにも入らず、「世の中にはこうした概念が出てきているんだな」と衝撃を受けました。
そうして本棚に「ソーシャルビジネス」という新しいカテゴリーを加え、社会に新しい物事が出てきていると受け止めました。蔵書にインデックスをつけていくことで、大きな変化にも繊細になることができたのです。
入社3年目までは新聞を読むな!
世間では「若者が新聞を読まなくなった」と言われますが、社会人3年目くらいまでは読まなくていいと思います。新聞は情報量が多い反面、その整理がすごく難しいので、自分なりの方法を身につけてから読んだほうがいい。
情報の使い方として、営業マンが世の中の流れを覚えておくためには、新聞はとても便利です。ただし、その場合は1〜3面くらいで基本的に十分。インターネットで事足ります。
一方、紙面で新聞を読む場合、この情報はどのカテゴリーで扱われているのか、自分のなかで整理して読まなければ時間のムダになる。先ほど私の本棚の話をしましたが、新聞の情報も棚分けするべきだという意味です。
例えば営業マンなら、会話を弾ませるための情報と、自分の提案の形式を深めるための情報、顧客との付き合いにおいて使う情報、というように種類を分けて捉える。
組織のマネジメントをする人は、実務を回すための情報、メンバーを引っ張るための情報、外部との連携をはかるための情報などと分けていく。そうして情報を整理し、解釈してください。
本と同様に、情報はそのまま置いておくだけでは、覚えることができません。
新聞は、パッとニュースに目を通すことが目的の場合、必要ありません。しかし、何についての情報を集めているのかを明確に理解しておけば、読むことに意味が出てきます。
今回のポイント
目的を持って本や新聞を読めば、使える知識として身に付く
(次回は「理不尽な攻撃をやわらげる方法」について)
著者プロフィール:
関厳(せき・いわお)
株式会社リブ・コンサルティング 代表取締役/国際公認経営コンサルティング協議会認定/マスター・マネジメント・コンサルタント。
2002年、東京大学教育学部卒業後、大手経営コンサルティング会社に入社。トップマネージャー賞をはじめ、数多くの社内賞を獲得し、史上最年少で取締役に就任。その後、専務取締役に就任し、コンサルティング部門の責任者として活躍。
2012年、同社を退職し、株式会社リブ・コンサルティングを設立。「“100年後の世界を良くする会社”を増やす」を理念に掲げ、トップコンサルタントとして幅広い業界のコンサルティング支援に携わる。
【著書】
『東大生はなぜ会社で使えないのか?』(中経出版)
Twitterアカウント:@Iwao14。
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