米国が日本の“足かせ”になる時代がすぐそこまで来ている?:伊吹太歩の時事日想(3/3 ページ)
国力、国際的な影響力が低下し続けている米国。イスラエル、パレスチナ間の紛争でも影響力の低下を露呈してしまった。しかしこれは、日本にとっても他人事ではない。米国が、日本にとって“足かせ”になってしまう危険性があるためだ。
米国の影響を受け、外交の判断が難しくなる?
時代の流れとともに、世界は複雑化している。ある意味、分かりやすいパワーバランスだった冷戦が終わり、中国のような新たな勢力が台頭し始めた。そこにバラク・オバマ大統領が登場して、公約通り“いろいろな意味”で「CHANGE(変化)」をもたらし、混乱を生んでしまった。
こうした状況は日本にとっても他人事ではない。安全保障面を中心に米国に大きく依存する日本は、米国の影響力低下で今後ますます、判断が難しい局面に向き合わなければならなくなるからだ。
例えばロシアとの関係。読売新聞によれば、秋に予定されているウラジミール・プーチン大統領の訪日について、セルゲイ・ラブロフ外相は「ロシアは招待を受け入れ、日本も合意を確認している」という。北方領土問題が話し合われる可能性もある大事なイベントだが、実現については「あとはロシアの問題ではない」とラブロフ氏は語っている(参照リンク)。
というのも、米国がロシアへの制裁を強化している状況下で、同盟国の日本もそれに同調せざるを得ず、追加制裁を発動しているためだ。ロシアはこの動きに「非友好的で近視眼的な歩み」とけん制しており、日本は難しい立場に置かれている。米国の動きで、日本は自らの利益に向けて突き進めない状況だ。
また、紛争中のイスラエルとも最近、産業R&D(研究開発)協力を締結したばかりだ。イスラエルは日本にとって、世界で初めて結んだ産業R&D協力の相手国である。日本はエジプトやサウジ、トルコやカタールとも関係は悪くない。そうした関係が今後、米国の同盟国という立場によって、悪い影響が出ないよう願わずにはいられない。
米国がさまざまな分野で日本に絡んでいるのは今に始まったことではない。ただここまで米国が弱くなったことは、いまだかつてなかった。日本にとっても、未経験の状況だろう。
あと2年で任期を終えるオバマ大統領は、7月の米クウイニピアク大学の世論調査で、第二次世界大戦以降で最悪の大統領とみられていることが話題になった。そんな大統領のことはさておき、日本は今、ポスト・オバマを見据えながら、少し無理をしながらでも自らの利害を主張し、ロシアと中東諸国とも独自路線で今以上に積極的に関わっていくべきではないだろうか。
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