Mobile:NEWS 2002年7月1日 11:14 AM 更新

携帯の次なる進化ポイントはどこか?(2/2)


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 504iのiアプリ速度の記事が読者の関心を集めた(6月21日の記事参照)ことを見ても、ユーザーは現在のJava実効速度に満足していない。単純に速度を上げるだけでも、ユーザーへの訴求力は間違いなく増すだろう。

 100倍程度の高速化なら、道は既に開かれている。SH-Mobileのようなアプリケーションプロセッサの搭載が、今年後半から来年にかけて進むだろう。次世代のSH-Mobileでは、Java部分をハードウェア化することで高速化を実現する。

 一方、表現力の強化では、注目は3Dグラフィックス。J-フォンのJava端末だけでなく、ドコモの504iシリーズにもエイチアイ製の3Dポリゴンエンジンが搭載(5月21日の記事参照)。“3D化”は業界の予想よりも早く進行している。

 このエイチアイ製の3Dポリゴンエンジンに、SH-Mobileのようなアプリケーションプロセッサを組み合わせると、携帯でも「プレイステーション並」の表現が可能になるといわれている(6月26日の記事参照)。また、「D504i」のようにハードウェア3Dエンジンを搭載した端末も登場(5月23日の記事参照)。3Dでも今後、ハードウェア化が進む可能性がある。

ケータイのPDA化

 端末の進化の1つの目標と以前から言われていたが、実際の対応は遅々として進まなかった“ケータイのPDA化”。しかし最近では、通信キャリアも端末メーカーも“PDA的な機能を盛り込んでいく”と口を揃えており(6月17日の記事参照)、今後は具体的な動きが出てくるだろう。この“PDA化”は、大きく分けて2つの方向で進むと考えられる。

 1つは、Javaなどのアプリケーションによって端末の機能追加を図る流れだ。これは“電話帳やWebブラウザをJavaなどで作り、ユーザーが好きなものをダウンロードして端末に組み込めるようにする”というのが、当面のゴールになる。

 この点に関してKDDIでは、アプリケーションをダウンロードして端末の機能を追加できる「BREW」を、秋にも端末に搭載する見こみ(3月8日の記事参照)。J-フォンは、「51シリーズ」でWebブラウザやファイルシステムのJava化を既に始めており(3月11日の記事参照)、今後は内蔵ソフトをできるだけJavaに置き換えていくと予想される。

 ドコモは早くから「iアプリで自分の好きな機能をダウンロードできるようになる」と言ってきたが、セキュリティの問題もあり、iアプリと端末情報やハードウェアとの結びつきは弱いままだった。しかし、504iシリーズでは部分的ながらWebブラウザなどとの連携や、端末情報の取得も可能になっている(5月21日の記事参照)。

 もう1つの流れは、住所録や予定表などのデータフォーマットの統一だ。既にauやJ-フォンの端末では、国際標準であるvCard、vCalendarに対応しており、同じキャリア間ならばメールなどでデータ交換が可能。ドコモも504iから赤外線ポートを標準装備し(5月21日の記事参照)、やはりvCard、vCalendar形式でデータがやりとりできるようになっている。

 現在のところは、キャリア間でさえ互換性が十分取れているとは言い難いレベルだが、住所録や予定表などPIM的なデータの互換性が増していけば、PCやWebアプリケーションとの連携もやりやすくなるだろう。実際、KDDIでは端末内の個人情報をPCのPIMソフト「Outlook」とシンクロナイズできるソフトウェアを販売しており(2月20日の記事参照)、携帯以外の機器とのデータ連携強化を図る流れは、今後、加速することが予想される。

ケータイはケータイであり続ける

 さまざまな方向に進化する携帯電話。だが、これまで外れたことのない法則がある。それは、携帯の進化はユーザーに受け入れられるが、「モバイル機器に電話を付けてもヒットしない」というものだ。

 PDAにPHSを組み合わせる試みは以前からあるが、ことごとく失敗。デジタルカメラにPHSを内蔵した機器も、うまくいったことはない。

 ドコモがiモード端末を開発したときも「あくまでケータイにこだわった」という。iモード企画部長の夏野剛氏がその著書『iモードストラテジー』(日系BP社)で書いていることだが、開発当初、同社が「インターネット接続機能が付いた携帯電話機を作ります」と説明すると、必ずと言っていいほど、メーカーの担当者は「超ハイテク端末」や「エグゼクティブ仕様」を提案してきたそうだ。しかし、同氏は機能向上の制約になっても、外見や重さ、通話時間などを既存の携帯と変えない方針を貫いた。これが今のiモード端末の形状を決め、爆発的にヒットする1つの要因になった。

 携帯のPDA化においては、機能と形状のバランスを上手く取る必要があるが、現在のところ形状のほうが重要な位置を占めている(2001年4月の記事参照)。今後、内蔵される機能がどんなに“夢のように”なっても、その形状は“ケータイ”であり続けるだろう。“音声通話機能”の優先度がいくら相対的に下がったといっても、やはり“携帯は電話”なのである。

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[九条誠二, ITmedia]

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