すべてで「これぞG'zOne」を目指して──10年目で到達した「原点回帰」:開発陣に聞く「G'zOne TYPE-X」(3/3 ページ)
ブランド名を冠したケータイの中でも特に熱狂的なファンが多いのが、カシオ計算機のG'zOneシリーズだ。初代G'zOneの発売から10年を迎えて原点回帰を目指した「G'zOne TYPE-X」には、開発陣の熱い思いが詰め込まれている。
反応速度や使い勝手は“集大成”に
── カメラが13メガになったことはサイズに影響しましたか?
安田氏 W42CAまではディスプレイの裏側にカメラがあったので影響は大きかったかもしれませんが、今回はキー側なのでそれほどありません。ただ、最近のケータイは高画素、高機能でカメラユニットが大きくなっているので、カメラの周囲だけが出っ張る“ランドセル型”のフォルムが主流になっています。しかしTYPE-Xではバッテリー容量を上げたので、結果としてカメラ部分とのバランスが取れてフラットな形にできました。
── ソフト面では、画面が3.2インチになったことで、G'zGEARの情報も精細に表示されていますね。
菊島氏 ディスプレイ解像度がQVGAだったCA002からVGAへと4倍に上がったので、G'zGEARをはじめ、QVGAでは難しかった表現が可能になりました。ただ、それを表示させるために処理速度も必要になりました。
佐合氏 W62CAが出たときに、サクサク感やカシオケータイの使いやすさという点でがっかりされた方も多かったかもしれません。しかし、その後モデルを経るごとにできる範囲で昔の使い勝手のよさやスピードが出るよう改善していきました。TYPE-Xはその集大成ともいうべき反応速度や使い勝手になっていると思います。
── サークルディスプレイになって変わったことはありますか?
猪俣氏 G'zOneのサブディスプレイは時計として、閉じても常時表示されなければなりません。W62CAやCA002では消費電力を抑えるために電子ペーパーを採用しましたが、セグメント表示だったので表示内容は限られました。そこでW42CA以来となるサークルディスプレイを復活させました。ただ、プラットフォームやインタフェースが違うなど、当時の仕様をそのまま持ってくるわけにはいかないので、一から作り直しました。
菊島氏 ケータイを閉じたまま表示すべきものは何かを考え、カウントダウンタイマーやアラームやストップウォッチを、閉じたままG-SHOCKと同じような操作感で使えるようにしました。W42CAよりもサイドキーの数が増えているので操作性も改善されています。また、G'zGEARの全機能もサブディスプレイで表示できるようにしました。
── 今回は充電台も横置きから縦置きに戻りましたね。
池津氏 当初はベッドタイプやピラミッドのようなものまでいろいろ検討しました。しかし一番シンプルかつ片手で差しやすく取りやすく、端末を差した状態で表示が見やすい角度を考えると、この形にまとまりました。差したままでもケータイを開閉できるようにしてあります。W42CA以前の縦置きに戻ったという意味では、充電台も原点回帰ということです。
何年も長く使ってほしい
── あらためて、技術者としてTYPE-Xに込めた思い入れを教えてください。
安田氏 W62CAで設計者としてはかなり工夫して進化させたつもりでしたが、ユーザーからはG'zOneから外れているという声をいただきました。それだけにTYPE-Xは、これぞG'zOneというタフネスさで、少しくらい傷が付いても「それが勲章だ」と思えるほどの作りになっていると思います。
猪俣氏 TYPE-Xで最高のものを目指したので、やりきったと感じています。毎回、どう進化させるかが開発の醍醐味なのですが、ここからどう進化させるかが難しいくらいですね。
菊島氏 復活したサブ画面でG'zGEARが使えるので、その操作性を実感してほしいと思います。また、カメラも13Mになって高速連写をはじめ申し分ない性能になっているので、ぜひ使ってみてください。
佐合氏 G'zOneのユーザーは統計を取ると1つのモデルを4~5年も使っている人が多いようです。だからこそTYPE-Xはこれから何年間も長く使えるように、液晶の解像度やカメラの機能にハイスペックなものを搭載しました。そういう意味で、安心して長く使っていただけるモデルになっていると思います。
── G'zOneシリーズという特殊なケータイを開発するのに、やはりチームはそれを知り尽くしたメンバーでないとだめなのでしょうか。
奈良氏 そうかもしれません。後はどれだけこだわり抜けるかということでしょうか。その点は、G'zOneブランドをどれだけ愛しているかが一番大きい。私は当初からG'zOneに携わっているので、どうしてもG'zOneの名を汚すわけにはいかないと思って開発してきました。
── 最後にG'zOneのファンの方にメッセージをお願いします。
高木氏 G'zOne TYPE-Xを通じてお伝えしたいのは、他とは違うものを持つ醍醐味、喜びを、TYPE-Xを持つことでもう1度思い起こしてほしい、感じてほしいということです。「1つのブランドを作りたい」という思いで始めて、以来10年間、同じ思いでやってきました。それにお客さんが応えていただいています。
発売前に立ち上げたTYPE-Xのスペシャルサイト(外部リンク)の中にTwitterから書き込めるコーナーがあるのですが、発売前から2000件以上の熱い思いを寄せていただいています。そのメッセージを見ると涙が出てくるぐらいうれしいことが書いてある。これは10年前に始めたブランドがいかにお客様から支持されているかというひとつの証だと思います。このことを大事にして、これからもこの「G'zOne」というブランドを育てていきたいと思います。
TYPE-Xの「X」が示すとおり、G'zOneシリーズは初代「C303CA」が登場してから2010年で10周年を迎える。その間、「タフネスケータイ」のコンセプトを変えることなく進化してきた。特にマーケティングの高木氏とデザイナーの奈良氏は、初代からずっとG'zOneシリーズに関わってきている。また、安田氏はタフネスの構造を知り尽くしたエキスパートとして、G'zOneのプロジェクトが立ち上がるたびに、開発チームに参画してきた。このように、G'zOne TYPE-XはそのDNAを熟知した開発陣によってこそ生まれたといえる。
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