ソフィアモバイル、スマートフォンを使ったモバイルIP電話「エスモビ」で携帯電話事業に参入:ドコモのFOMA網をMVNOで利用(2/2 ページ)
ソフィアモバイルは、ドコモのFOMA回線とフュージョンのIP電話、中HuaweiのAndroidスマートフォンを組み合わせたモバイルIPでんわサービス「エスモビ」を7月下旬に開始する。中核となるSIPサーバとIP電話アプリは独自開発したもので、低コストかつ高品質なのが特徴だ。
独自開発のアプリと、自前のSIPサーバで低コスト高品質を実現
ソフィアモバイル代表取締役社長の志村明彦氏は、「スマートフォンとインターネット回線を組み合わせ、パケット通信上に高クオリティの音声通話を載せた『エスモビ』は、まったく新しいモバイル通信のスタイル」と、新規参入する携帯電話事業への意気込み見せる。
音声通話に回線交換方式ではなくIP電話を選んだことから、サービスを低コストに提供できるのも特徴で「国内の固定電話には1分6円から、海外には1分3円からという通話料金の低さは、まさに驚異的」と胸を張った。また、独自開発のIP電話アプリは低い帯域でも高品質の通話ができるという。さらに、対応端末のIDEOS X5については「SIMロックフリーでテザリングも可能。“なんでもできる”Android端末として活用してもらえる」と評した。
エスモビの活用シーンについて志村氏は、「海外向けの料金が安いことから、外国の取引先とよく電話する方にお勧めしたい。海外出張時には、IDEOS X5のSIMを差し替えて、現地キャリアのネットワークを使うこともできる」と話す。さらに、エスモビ同士の無料通話については「24時間、海外からでも内線感覚で利用できる」と自信を見せる。ほかのモバイル向けIP電話は同じ事業者間でも通話料金がかかるため、エスモビ同士が無料という点は、大きなアドバンテージだ。
「モバイルで使うスマートフォン同士が“内線”として無料で通話できることに加え、アプリにはビジネスフォンのような保留・転送サービスを搭載した。外出先でも受けた電話を社内に転送できるなど、簡易セントレックスとしての利用が可能だ。企業のIP-PBXとの接続機能もあり、本格的なFMC環境にも対応する」(志村氏)
モバイル回線はドコモのFOMA、IP電話網はフュージョンのインフラを使うエスモビだが、要となるSIPサーバはグループ企業のソフィア総合研究所が持つデータセンターで運用している。同社 事業本部本部長の高橋和夫氏は「弊社にSIPサーバがあることで、低価格でIP電話を提供できた。このエスモビ用SIPサーバは、サーバごとにあるSIPの“方言”を吸収できるため、通話品質が安定しているのも特徴」と話す。特に国外回線については、エスモビのSIPサーバと現地キャリアを直結しているため、国内以上の低価格で通話を提供できるという。
ネット上の音声通話サービスやIP電話といえばSkypeが代表格だが、高橋氏は「エスモビのほうがビットレートが低く、モバイルに向いている」と説明する。「Skypeの音声コーデックであるSILKは最定でも6kbps程度で、実効帯域では20~25kbpsほど必要。エスモビの音声コーデックはそれよりも低い4.75kbpsを実現している。実効帯域も10kbps前後で音声通話が可能」と自信を見せた。
「3G回線は通信速度の“ゆがみ”が非常に大きい。1Mbpsから数十Kbpsまで通信帯域が上下するため、音声通信に高い帯域が必要だと、遅延や切断の原因になってしまう。圧縮率が高いエスモビのコーデックであれば、遅延も少なく切れにくいい」(高橋氏)
エスモビは7月13日から予約を受け付けを開始。製品の出荷は7月下旬になる予定。ソフィアモバイルは、同社が入居する東京都新宿3丁目のビルに直営店の「エスモビ サテライトショップ」をオープンさせ、製品やオプションサービスのデモを行なっている。加えて、ソフィアモバイルのオンラインサイトでも取り扱う。また、大手量販店のビックカメラ有楽町店とソフマップの各店頭や、携帯電話の併売店チェーンである「もしもしモンキー」(もしもん運営)、「スーパー ダ・カーポ」(ダ・カーポ運営)などでも順次販売し、企業への導入ではオフィス24などが窓口になる予定だ。
初年度(2011年度)の販売目標につて志村氏は、「目標は、2012年3月までに1万回線の契約の獲得。その後は、協力していただける販売店を拡大するなどして、2倍3倍に増やしていきたい。かなり低コストでサービスを提供できるため、初年度からの黒字を目指している」という見通しを表明した。
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