紙ではなく“手帳”を再発明――「GALAXY Note」が開く新しい1ページ(後編):開発陣に聞く「GALAXY Note」(2/2 ページ)
スマホより大きくタブレットよりも小さい。そんな絶妙なサイズ感とこれまでにない快適なペン入力が話題の「GALAXY Note」。その開発経緯や狙いを、Samsung電子の担当者に聞いた。
ホーム画面などのUIも、従来のGALAXYシリーズから「Touch Wiz UI」を継承。大きな変更は加えられなかったが、ボディが大きいため片手でも扱えるよう、キーパッドのサイズを小さくできる微調整が加えられた。パク・ヨンソク氏によると、これまでのGALAXYもディスプレイサイズやユーザーからのフィードバックを受けてUIを修正することがあり、GALAXY Noteもその微調整をした程度だという。またMicro USBで充電できる点(GALAXY Tabは専用端子で充電する)など、新カテゴリーであってもスマートフォンとしての成り立ちが強いようだ。
パク・ヨンソク氏は、「Sペンの使い勝手では、とにかくアナログ感を出すことに注力した」と説明する。多くのユーザーがペン入力を求めたことがGALAXY Note開発のきっかけだが、それは単にペンを付属すれば良いというものではない。紙に書くような自然の書き心地を実現することが重要だった。また、従来からのタッチ操作との両立も欠かせない。パク・ヨンソク氏は「GALAXY Noteでは、ペン操作とタッチ操作に主従関係はない。ユーザーが好きなときにどちらでも利用できるようにしている」と話す。個性が強いGALAXY Noteだが、「特定の使い方をユーザーに押しつける製品ではなく、さまざまな使い方に対応できる製品だと思う」(パク・ヨンソク氏)という。
アナログ感を増すのに一役買っているのが、背面パネルと交換できるフリップカバーの存在と、Sペンを収納式にしたこと。この2つの要素により、「デザインがよりノートらしくなった」(パク・サンシク氏)のは確かだ。Sペンはボディに収納されているが、端末操作の延長で自然に取り出せるよう、下向きに出し入れする方式が取られた。端末上部には通信用やワンセグのアンテナがあるため、実装が難しいという理由もあった。
今回のインタビューでは、故スティーブ・ジョブズ氏が「iPhone」を発表する際にPDA時代のスタイラスペンを否定したことも質問された。パク・サンシク氏は「iPhoneがペンを否定したのは、PDAからスマートフォンへの移行期でもあり正しいと思う」と理解を示したが、「今は技術も発達しディスプレイも大きくなった。ペンを使いたいという人間の感情的な欲求も顕在化している。これに答えることができるから、GALAXY Noteを製品化した」と、スマートデバイスのUI/UXが新たなフェーズに移行しつつあることを示唆した。
この良さは使ってみないと分からない
GALAXYシリーズでAndroidスマートフォンを牽引するSamsung電子は、GALAXY Noteで新たなジャンルの確立を目指している。だが、そのサイズ感や手書きの感覚は実機を試してみないと分からないことが多い。Samsung電子のキム・アルム氏は、世界的なプロモーションを通じて、GALAXY Noteへの接触機会を増やしたいと意気込む。
日本では3月28日に行われた製品発表イベントの「GALAXY Note WORLD TOUR」も、全世界プロモーションの一環だ。ロンドンからスタートしたツアーは、ジャカルタ、上海、ソウル、ドバイと地球を半周して東京に上陸した。こうした“派手”なイベントを開催する一方、“草の根”の活動も手を抜いていない。それがタッチ・アンド・トライイベントの「GALAXY Note Studio」だ。
このGALAXY Note Studioでは端末を試用できるだけでなく、イラストレーターがGALAXY Noteを使って来場者の似顔絵を無料で描いてくれる。描かれた似顔絵は来場者がメールで受け取れ、SNSのアバターなどに設定できるほか、Tシャツにプリントして持ち帰ることも可能だ。目の前でイラストを描くというデモンストレーションを通じて、GALAXY Noteの製品特徴をアピールするというわけだ。国によってはスマートフォンの背面パネルにレーザー刻印を施してくれるサービスも行っている。Samsung電子によるとGALAXY Note Studioを行った近くのショップでは、GALAXY Noteの売り上げが伸びるそうで、効果はかなりあるようだ。
GALAXY Note Studioは日本でも150カ所以上で行われる予定。開催場所は各地のドコモショップや商業施設、イベントスペースなどで、具体的なスケジュールは特設サイトで随時告知されている。気になる人はぜひチェックしてほしい。
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