「Tegra 4」と「SHIELD」で舵を切るNVIDIAの狙い:2013 International CES(2/3 ページ)
米NVIDIAのプレスカンファレンスで、「Tegra 4」の概要が明らかになった。また、この新プロセッサを内蔵したゲームコンソール「Project SHIELD」も公開した。
強力なグラフィックスコアの意義をHDR処理で理解する
グラフィックスコアの強化によるメリットとして、ゲーム以外で挙げるのは難しいが、NVIDIAでは「HDR」のデモを紹介している。HDR(High Dynamic Range)は写真撮影などで、暗い被写体に絞りを合わせると明るい背景などが白飛びし、背景に絞りを合わせると暗い被写体が黒くつぶれてしまうような状況で、それぞれ露出を変更した2枚の写真を合成してどちらの被写体や背景も適切に見えるよう合成する技術をいう。最近のデジタルカメラのほとんどがこの機能をサポートするが、一方で、2枚の画像を連続撮影する関係上、被写体が動くと正しい画像合成が行えない。
そこで、NVIDIAはイメージセンサとプロセッサの間で発生するデータフローを変更し、Tegra 4において写真の2枚同時撮影を多数のグラフィックスコアによる高速画像処理で実現している。この技術では、カメラから取り込んだ画像をそのままリアルタイムでHDR変換することが可能になる。動く被写体にも有効で、動画撮影でHDR画像を記録することも可能だ。
Tegra 4の特徴として、NVIDIAは、チップセットで実現する3Gモデムの存在も強調している。通常、モデムチップは各機能ブロックごとにIPを組み合わせる形でハードウェアを実装するが、これを汎用コアに置き換えてソフトウェア的に処理するのがソフトモデムだ。4G LTEに対応したモデムチップでは、ソフトウェア的に機能を実装している。NVIDIAによると、作業に余裕のあるコアに処理を振り分けることで効率が改善し、従来比40パーセントのコアサイズ縮小が可能になったという。これは、NVIDIAが2011年に買収した英Iceraの技術を応用したもので、パフォーマンスや消費電力の面でどの程度効果があるのか、実際の評価報告に期待したい。
なお、プラスカンファレンスでは、Tegra 4のラインアップや出荷時期、価格については明らかにしていない。詳細は、おそらく2月にバルセロナで開催するMobile World Congress(MWC)になるだろう。
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