注目集める“第3のOS”/ドコモのマルチキャリア展開とは/ウィルコムがiPhone 4Sを販売する狙い:石野純也のMobile Eye(2月19日~3月8日)(3/3 ページ)
今回は、2月19日から3月8日までの3週間にわたって発表されたニュースをピックアップ。Mobile World Congress 2013では“第3のOS”がにわかに注目を集めた。これまでとは違った兆しを見せているドコモが発表した新サービスや、ウィルコムがソフトバンク版iPhone 4Sを取り扱う狙いにも迫る。
ウィルコムがソフトバンクのiPhone 4Sを販売する狙いとは
ウィルコムは6日、16Gバイト版の「iPhone 4S」を取り扱うことを発表した。既存のウィルコムユーザーがMNPで乗り換えると「ソフトバンクセット割」が適用され、本来4410円の「パケットし放題フラット」が2年間3380円になる。「月々割」や「スマホタダ割」を含めると、端末代込みで2年間の料金は月額3695円。ここに、通話料が加わる計算だ。もっとも、これはすでにウィルコムを利用していることが前提のキャンペーンだ。「だれとでも定額」を駆使すれば、多くのユーザーが3695円でiPhone 4Sを運用できるだろう。
ウィルコムプラザでは、一部ソフトバンクモバイルのスマートフォンを取り扱っており、端末の型番もウィルコムのルールに則ったものになっている。これに対して、今回のiPhone 4Sはあくまでソフトバンクとの契約という扱いだ。ウィルコムがiPhoneの販売を開始したというより、実態はウィルコムプラザがソフトバンクの販売代理店になっているのに近い。
「iPhone 5」が発売され、すでに型落ちとなっているiPhone 4Sだが、iPhoneの“廉価モデル”という位置づけで販売が続けられている。特に、海外でSIMロックフリーの端末が単体販売されている場合、最新版のiPhone 5とiPhone 4Sでは、価格に大きな開きが出てくる。海外でiPhone 4Sが一定の人気を保っているのはそのためで、旧端末がミドルからローエンドに近い役割を果たしているというわけだ。
一方の日本では、端末購入に伴い毎月の通信料が割り引かれるのが一般的。最新モデルが販売当初から“実質0円”というケースもあり、端末の価格差はあまり意識されない傾向にある。ここにユーザーのハイエンド志向も加わり、スペックを抑えたコストパフォーマンス重視の端末はなかなかヒットに結びつかない。あくまで推測だが、このキャンペーンが端末価格ではなく、パケット定額料の割り引きになっているのには、こうした事情も関係しているのだろう。
ソフトバンクにとっては、契約増につながるメリットがある。「iPhoneに限らず、販路を広げてウィルコムの音声ユーザーにスマートフォンを気軽に使ってもらう」(広報部)のが狙いだ。ウィルコムは、2月から「HONEY BEE 201K」や「PANTONE 6 200SH」「RAZR M 201M」とPHSをセットにした、ソフトバンクセット割を行っているが、iPhone 4Sもこの施策の延長線上にある。ウィルコムによると「2台持ちが多い中で、iPhoneもグループで一緒に売ることになった」(広報部)という。一部には在庫処分という声もあるが、この見方は正しくないようだ。
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