各社が「5G」への取り組みを展示――Ericssonは5.3Gbpsを実現、“免許不要”の「LTE-U」も注目集める:Mobile World Congress 2015(2/2 ページ)
2020年までの商用化が期待されている「5G」。スペイン・バルセロナで開催された「MWC 2015」ではドコモをはじめ多くの企業が関連技術を展示し、免許不要の周波数帯でLTEを使う「LTE-U」も注目を集めた。
Wi-Fiなどの免許不要な周波数帯をLTEで利用する動きも
5G以外では、ネットワーク機能を仮想化するNFV(Network Functions Virtualization)、ネットワーク構成をソフト的に変更できるSDN(Software Defined Networking)などのトピックが2015年も展示されていたが、ライセンスされていないWi-Fiなどの周波数帯をLTEで利用する「LAA(License Assisted Access)」、いわゆる「LTE-U」の展示も目立った。
LTE-Uは5GHz帯など免許不要の周波数帯とLTEの周波数帯をキャリアアグリゲーション(CA)技術を利用して束ねるもので、トラフィック対応策として魅力的な技術になりそうだ。Ericssonによると、5GHz帯のわずか4%を利用するだけで150Mbpsのスピードをプラスできるとのこと。同社はLTE-Uをサポートしたチップセットが2015年内に登場するとみており、自社も年内に屋内ピコセルの「RBS 6402」でサポートするのを皮切りに、屋内・屋外のスモールセル製品でLTE-U技術に対応していくとしている。
Huaweiも、CAをサポートした屋内カバレッジソリューション「LampSite」を用いてLTE-Uの実験を行っており、セルエッジの性能が改善されることなどが分かっているという。LAAを“LTE-U”と名付けたチップベンダーのQualcommも同技術をプッシュしており、2016年内に実装を開始する見通しを示した。
ライセンス不要の周波数帯を活用できるためオペレーターの関心も高く、すでに米T-Mobileなどが商用化を表明している。しかし、日本や欧州ではライセンスされていない周波数帯の利用にあたって干渉がないことを確認するLBT(Listen Before Talk)を行う必要がある。そのため、「すぐに商用化とはいかないだろう」とエリクソン・ジャパンでCTOを務める藤岡雅宣氏は予想する。なお、Nokiaブースでの説明員によると、LBTの処理は4マイクロ秒とわずかなものだという。
ノキアソリューションズ&ネットワークスでテクノロジー・ディレクターを務める赤田正雄氏によると、「Wi-Fi陣営からは(LTE-Uに多くを利用されると)Wi-Fiが使えなくなるのではという懸念が挙がっており、3GPPとWi-Fi Allianceの間で協議が始っている」とのことだ。また、LTE-Uに当たっての日本の問題として、上記のLBTに加えて「5.8GHz帯はDSLC(Dedicated Short Range Communication)としてITS(高度道路交通システム)が使用していること、無免許帯と免許帯のキャリアアグリゲーションが現行では許可されていないことなどの課題がある」と述べた。
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