「日本の携帯料金は決して高くない」「iPhoneは世界一安い」――ソフトバンク孫社長
安倍首相の「携帯料金を見直すべき」との発言を発端に、「日本の携帯料金は高い」との世論が目立っているが、これ対して、孫氏が持論を披露した。
「日本の携帯料金は決して高いわけではない」――。ソフトバンクグループ孫正義社長が、2015年度第2四半期の決算会見で携帯料金に関する考えを明かした。安倍首相の「携帯電話料金を見直すべき」との発言を発端として、ここ最近、「日本の携帯料金は高い」との報道が目立つようになったが、これに対して孫氏が反論した形だ。
「少なくとも日本のネットワークは、アメリカ(北米)よりもはるかに進んでおり、それをアメリカよりもはるかに安い料金で提供している。欧州の先進主要国と比べも、日本のネットワークは何倍も優れているのではないか」と孫氏は話し、通信品質を考えれば決して高くないとの考えを示した。
また「世界でiPhoneを一番安く提供しているのが日本であることも、皆さんに再認識してほしい」と付け加える。iPhoneの端末価格は、容量によっては10万円以上するが、毎月の通信料から割り引く施策(ソフトバンクの場合は「月月割」)がほかのスマートフォンよりも優遇されており、安く運用できる。iPhoneについては、端末代を含めたコストは安い――というわけだ。
それでも、家計に占める通信料の割合が上がっているのも事実だ。しかし孫氏は「カメラ、テープレコーダー、目覚まし時計、カレンダー、手帳、ウォークマン、新聞、雑誌など、ありとあらゆる機能が1台のスマホに置き換わった。複合的なサービスを1台でこなしていると考えると、他に使っていた費用がこちら(スマホ)に代替されるといえる」との持論も披露した。
一方で、携帯をあまり使わない層から「もっと安いプランが欲しい」という声が挙がっていることは孫氏も認識しており、「より安いメニューを用意していきたい」とした。現在はソフトバンクが運営する「Y!mobile」では、月1Gバイトのデータ通信と通話無料サービスを月額2980円(税別)で利用できる安価なプランがあるが、ソフトバンクでもライトユーザー向けのプランが追加される可能性が高い。
総務省の「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」でも議題に挙がった「通信料金と端末代金が一体化していて分かりにくい件」については、ソフトバンクが発端になったと言っても過言ではない。
「ソフトバンクが携帯事業に参入する前は、端末はほとんど無償に近い形で提供されてきたが、それはおかしいんじゃないかということで、端末と通信を分けて、割賦販売を開始した。割賦販売をする代わりに、通信料から値引きする――。これはソフトバンクが世界で最初に実施した。当時はなかなか業界にも一般にも理解してもらえなかったが、今は世界中の事業者が割賦販売をやっている」と孫氏は話すが、通信料金と端末代が分離したとは言い難い。
孫氏も「通信料金から値引くところが、なかなか通念として分かりにくい」と認め、「端末と通信の価格をもう少し分かりやすく区分けするのがいいのでは? という声があることは真摯(しんし)に受け止めて、検討を開始したい。『ノー』と言うわけではない」と柔軟に対応する姿勢を示した。
総務省が2015年内に出すであろう携帯料金施策の結論については、「“真摯に受け止める”という大人の発言をする」とにこやかに話していた。
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