「SIMロック」は悪なのか?――その歴史を振り返る:IIJmio meeting 14(2/2 ページ)
IIJが開催したファンミーティング「IIJmio meeting」で、SIMロックの歴史と現状を振り返った。SIMロックは悪なのか? 必要なものなのか?
脱SIMロックの時代の瀬戸際まで来ている
ユーザーにとってSIMロックはなくなってほしいものだが、歴史的には、SIMロックは必要性に迫られて作られた。端末が0円でSIMロック解除など不要だった時代から、実質0円の時代となっても、MVNOが登場する前まではSIMロックを解除してまで他社に移る人はいなかった。しかし、現在は実質0円が禁止されている時代。MVNOが普及し、SIMだけ契約できるようになり、端末を自分で持つことでユーザーにメリットが生まれてきた。それに合わせて、ガイドラインもMVNOのビジネスに寄り添う方向で改定されてきた。
SIMロックの意義も、端末とサービスの一体提供から顧客の囲い込みへと変わり、現在は奨励金や端末購入補助といった投資や、分割払いの債権を回収までのリスク低減のためと、最小限の範囲でのSIMロックに変わってきている。
今後は、「SIMロックをかけて端末を守っても仕方がないという時代になる」と佐々木氏は予想。SIMロックフリー端末が普及し、サブブランドをいわれるY!mobileやUQ mobileは、SIMロックフリー端末を積極的に活用している。SIMロック解除を利用する人も増えており、ユーザーのSIMロックへの心理的なハードルも下がっている。「端末がコモディティ化しており、脱SIMロックの時代の瀬戸際まできている」という認識だ。
IoT時代にはeSIMも普及する
なお、IoT時代にはeSIMも普及するとみられている。eSIMだと契約情報をダウンロードするだけでキャリアを変えることができ、ハードルはさらに下がるはずだ。しかし、GSMAがeSIMの実装においてはSIMロックを有効にするよう勧めるなど、キャリア側は急激な変化を望んでいないと佐々木氏は指摘する。
「でも、だんだんとハードルは下がる。ユーザーが囲い込まれないようになっていくことをMVNOは強く期待している」と語り、「IIJはフルMVNOやeSIMの時代に正面から取り組む。SIMロック解除で面倒なところはまだあるが、ユーザーのメリットが大きくなるように努力する」(佐々木氏)
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