SIMロックの解除期間が短縮 一括は「支払い確認後」、割賦は「約100日以下」に
総務省が「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」を策定。SIMロック解除の期間を、現在の180日から改正。スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドラインも改正した。
総務省は1月10日、2016年11月10日に実施した「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」の取りまとめを受けて、「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」を策定した。同指針は、SIMロック解除とスマートフォン購入補助に関するガイドラインを改正、統合した内容となる。
SIMロック解除については、現在はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社とも、解除できる期間を「購入から180日」としているが、以下の通りに短縮する。
- 割賦払いの場合……100日程度以下、2017年8月1日から適用
- 一括払いの場合……支払いを確認できるまでの期間、2017年12月1日から適用
あわせて、キャリアを解約する際も、2017年5月1日以降はSIMロックの解除を可能とする。
上記の新ルールは“180日ルール”の適用対象と同じく、2015年5月1日以降に発売された端末が対象となる。それ以前の端末は、ドコモとソフトバンクが180日ルール以前に独自に策定したルールが適用される。
一括払いの「支払いを確認できるまでの期間」という表現があいまいだが、これは「販売店で購入後、通信キャリアが一括払いで購入したことを確認するまでの期間」を意味する。従って、一括で購入して即日SIMロックを解除できるかは不明で、購入からロック解除までにタイムラグが発生する可能性がある。
2017年8月1日以降に発売される端末については、MVNO向けのSIMロックも廃止とする。現在、ソフトバンクとau(au VoLTE)の回線を使ったMVNOのSIMカードを使用するには、端末をSIMロック解除する必要があったが、これが不要になる。
スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドラインは、以下の3点を改正する。
1つ目がフィーチャーフォン(3G)からスマートフォン(LTE)への、事業者間での移行促進。これまではドコモのFOMA→Xiなど、同キャリア内での移行に限り、過度な割引(実質0円)とならない範囲での移行促進を認めてきたが、2017年2月1日からは、MNPでの移行もこの対象に含める。
2つ目が、期間限定の端末購入補助の適正化。これまで、キャリアが販売店に支払う、MNPによる販売奨励金は端末購入補助とは定義していなかったが、1カ月未満の期間限定で行うMNPの割引増額は端末購入補助とみなし、(実質0円などではない)合理的な額にすることが求められる。こちらも2017年2月1日から適用とする。
3つ目が、端末の実質負担額の明確化で、2年前の同型機種の下取り価格以上を目安とする。2017年6月1日以降に発売される端末が対象となる。
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