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速度は十分だがサービスの拡充が必要 日本通信のソフトバンクSIMを使って感じたこと石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

ソフトバンク回線を使ったMVNOサービスがついに始まった。日本通信や、同社をMVNEとするMVNOが料金プランを発表。このソフトバンクのSIMはどこまで使えるのか? 実際に契約をして検証した。

ドコモ系MVNOより料金は割高、現状の速度は十分

 鳴り物入りで始まったソフトバンクのMVNOだが、料金はドコモのネットワークを使うMVNOと比較すると、やや高めだ。データプランの場合、ドコモ系MVNOは3GBで900円が相場となっている。対する開幕SIMやU-mobile Sの3GBプランは1580円なので680円ほど高い。1GBプランを提供するMVNOの数は限られるが、これも499円に設定しているプラスワン・マーケティングのFREETELなどと比べると割高になる。

 ソフトバンクのネットワークを使うMVNOがまだ少ないため、競争が起こっておらず、料金プランの相場も確立されていない。接続料もドコモと比べると割高になっており、10Mbps辺りの価格はドコモが78万509円なのに対し、ソフトバンクは116万6697円となる。2017年度はさらに値段が下がり、キャリア間の差が縮まることが予想されているが、MVNOのユーザー数が、どこまで拡大するかも読みづらい。こうした事情が、価格に反映されている可能性はありそうだ。

 実際に、U-NEXTの「U-mobile S」を契約してみたが、サービス開始当初ということもあり、まだ一般のユーザーにはハードルが高いと感じた。データプラン専用ということもあるが、MVNOの間に広がりつつある「即時開通カウンター」はなく、基本的にはSIMカードを買ってきて、自らアクティベーションしなければならない。これ自体は慣れていればさほど手間はかからないものの、契約手続きは全て店頭で済ませてきたユーザーにとっては、難しいと感じるかもしれない。

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SIMカードは自分でアクティベーションしなければならない

 iPhoneの場合はドコモ系MVNOやau系MVNOでも同じだが、APNを設定するためのプロファイルもインストールしなければならない。これをしないと、自動でソフトバンクのiPhone向けAPNがセットされてしまい、通信ができない。プロファイルはU-NEXTのサイトに用意されているが、ダウンロードするためにはWi-Fi環境が必要となる。インターネットに接続したいのに、別のインターネット環境が必要というのは、やや本末転倒だ。テザリングができないのも残念だ。

SIMカードを挿しただけでは設定できず、プロファイルのインストールが必要

テザリングには対応していない

 料金プランの選択にも頭を悩まされた。というのも、U-mobileでは、当初選択した料金プランから変更ができないからだ。あまり使わないことを想定して1GBにしようと思ったが、データ容量を使い切ったときに、追加購入する仕組みが設けられていないため、締日までずっと200Kbpsに速度が制限されてしまう。かといって、あまり使わなかったら、お金が無駄になる。日本通信の開幕SIMには、料金プランを変更するオプションがあるため、MVNOにもこうした機能は早急に提供してほしいと感じた。

 一方で、サービス開始直後のためか、スピードは十分な印象を受けた。iPhone 7にSIMを挿し、渋谷の事務所で何度か速度を計測したところ、いずれも下りは15~25Mbps出ていた。通信に関しては「普通に使える」と評価できる。もっとも、ユーザー数が増えたとき、同じだけの速度を維持できるかは未知数となる。この点は、MVNOのU-NEXTだけでなく、MVNEである日本通信にとっての課題といえるかもしれない。


iPhone 7で測定。速度は安定して15~25Mbpsほど出ていた

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