気象庁、緊急地震速報で誤報――“キャンセル報”は実施せず
8月25日の6時37分頃、誤った緊急地震速報が発表された。都内の交通機関が一部運転を見合わせるなどの影響が出た。誤報の原因について気象庁は「調査中」としている。【2009年8月25日18時52分:誤報の原因を追記】
気象庁は8月25日、同日の6時37分頃、千葉県、茨城県、東京都23区、神奈川県東部、埼玉県南部に誤った緊急地震速報(警報)を行ったと発表した。
緊急地震速報は、震度5弱以上が予測される場合に発表されるもので、テレビやラジオ、防災行政無線、携帯電話などで入手できる。携帯電話では2009年8月25日現在、NTTドコモとau端末で利用でき、今朝の地震速報もドコモとauの対応機種に配信された(ソフトバンクモバイルは今秋からサービス開始予定)。
今朝の地震速報により都営地下鉄と東京メトロ、東武鉄道が一時的に運転を見合わせるなど、都内の交通機関にも影響が出たが、「早朝だったため、大幅なダイヤの乱れが出ることはなく、影響は最小限に留まったと認識している」(気象庁 地震火山部管理課)。
誤報の原因は、千葉県南房総市にある「千葉三芳」の観測点から異常な振幅値のデータが送られていたことで、地震の規模を過大に見積もったためだという。異常な振幅値が送られた原因については調査中で、気象庁は詳細が分かり次第、告知するとしている。現在、千葉三芳観測点は緊急地震速報の観測点としての運用が停止されている。
今回の誤報についての公式情報は、気象庁のホームページで発表されたのみで、同庁は「誤報について速報するといった措置は取っていない」(地震火山部管理課)。これは、今朝の緊急地震速報後、千葉県の東方沖で震度0の(有感ではない)地震が発生したため(気象庁の地震情報:外部リンクを参照)。「地震が発生しなかったにもかかわらず緊急地震速報を発表した場合は、緊急地震速報と同じ仕組みで“キャンセル報”を送信するが、(震度5弱未満でも)地震が発生した場合、現状では速報は配信していない」(同)という。
とはいえ、今回の誤報も緊急地震速報と同じ仕組みで速報が行われていれば、より多くのユーザーが早い段階で的確な情報を得られたはず。今回のように“震度5弱未満の地震情報”を誤報した場合の措置は「今後の検討課題」(地震火山部管理課)としている。
※2009年8月25日18時52分追記
気象庁は8月25日17時に誤報の原因を発表した。「千葉三芳」の地震観測点から異常な振幅値のデータが送られてきた原因は、8月24日に実施したソフトウェア改修に不具合があったためだという。千葉三芳の地震観測点は震度計の機能も備えており、8月24日に震度計機能のソフトウェア改修を業者が実施したところ、改修対象ではない緊急地震速報処理を業者が作業したために不具合が生じ、振幅が過大に送信された。現在、千葉三芳の観測点は正しいソフトウェアに復旧し、運用が再開されている。
同庁は「今後このようなことがないよう業者への指導を徹底し、改修前後のソフトウェア等の比較結果についても業者に報告させ、気象庁もその内容を確認することで再発防止に努める」としている。
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