LTE、EV-DO Advanced、au Wi-Fi SPOT、WiMAX――KDDIの“マルチネットワーク”最新事情:CEATEC JAPAN 2011
2012年12月に開始予定のLTE、現行の3G通信をさらに高速化するEV-DO Advancedなど、KDDIブースでは最新の通信技術が披露されている。
KDDIはCEATEC JAPAN 2011で、LTE、EV-DO Advanced、au Wi-Fi SPOT、WiMAXなど最新の通信技術を紹介している。同社は3G、LTE、WiMAX、Wi-Fiといったマルチネットワークの構築を推進しており、その一端が垣間見られる。
LTEのデモでは下り60Mbps前後を記録
次世代高速通信のLTEは、すでにNTTドコモが2010年末からサービス(Xi)を開始しているが、KDDIも2012年12月から商用サービスを提供する予定。新800MHz帯の10MHz幅を基盤バンドとし、1.5GHz帯の10MHz幅を容量補完バンドとして使う。速度は下り最大75Mbps。LTE基地局については既存基地局のソフトウェアをアップデートすることで対応し、LTE圏外ではEV-DOマルチキャリア(WIN HIGH SPEED)で通信ができる。LTEと1X/EV-DOのハンドオーバーは「手動ではなく、ユーザーが意識せずに切り替えられるようになる」(説明員)。音声着信はCDMA 1X網で対応し、LTE通信中でも素早く通信を切り替えて通話ができる。
会場にはLTE商用基地局を設置し、データ端末の試作機を用いてLTE通信(データダウンロード)のデモが実施されている。通信速度は60Mbps前後を記録していたが、端末の側に人が来るとやや通信が不安定になることがあり、安定して通信ができるよう現在もチューニング中とのこと。
3Gの通信速度が約2倍に――「EV-DO Advanced」
LTEより一足早い2012年4月からの導入を予定しているのが、「EV-DO Advanced」だ。現在、auの3G通信では電波の強さに応じて通信する基地局が決定されるが、EV-DO Advancedでは基地局のトラフィック量も確認するのが特徴。最も近い基地局が混雑している場合、混雑していない近くの基地局に接続することで、トラフィック量の多いエリアでも高速で通信できる。KDDIの調べによると、スループットは平均2倍向上するという。
この技術で特に恩恵を受けるのは、都心の駅など人が密集する場所。屋内のイベントでは電波が届きにくいため効果は薄いが、花火大会など屋外のイベントの方が効果は高いとのこと。カバーできる基地局の範囲について説明員は「都心など基地局が密集している場所では、数百メートルをカバーできるのでは」と話していた。2012年4月から基地局のソフトウェアをアップデートすることで、既存のau端末(EV-DO Rev.AやEV-DOマルチキャリア対応機)も対応する。
2011年度末に10万スポットを目指す「au Wi-Fi SPOT」
3G通信のトラフィック増加によって、ひっ迫したネットワークを緩和するために各社が進めている対策の1つが、公衆無線LANスポットの展開だ。KDDIはauのスマートフォン向けに「au Wi-Fi SPOT」を展開しており、2011年度末までに約10万スポットを提供する予定だ。無線LANのバックボーンにはWiMAXを使用しているが、説明員によると、屋内などWiMAXの電波が届かない場所で利用したいという提供事業者もいるため、固定網の利用も検討しているという。また、アクセスポイントのサイズが大きいという声も挙がっているようで、アクセスポイントの小型化も検討しているとのこと。
ホームタイプのWiMAXルーターを参考出展
KDDIが無線LANと両軸で導入を始めたWiMAXについても紹介。下り最大165Mbpsを実現するWiMAXの次世代規格「WiMAX 2」に対応するデータ端末のプロトタイプを参考出展している。またWiMAXルーターの新製品として、シンセイコーポレーション製の「URoad-Home」も参考出展。有線LANポートを備えており、自宅での据え置き型ルーターとしての利用が想定される。まだ正式発表されていないが、「年内には発売されるのでは」と説明員は話していた。
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