出来の悪い子ほどかわいい 良くも悪くも印象に残ったあのスマホ:ITmediaスタッフが選ぶ、2012年の“注目ケータイ&トピック”(ライター房野編)
2012年で最も長い間使った端末は、“実力はあるのにうまく発揮できなかった”あの機種。それだけに、いいことも悪いことも思い出が多く、愛すべき端末でした。
出来の悪い子ほどかわいかった「ARROWS Z ISW11F」
2012年の端末といえば、良くも悪くも「ARROWS Z ISW11F」が強く印象に残りました。2011年の12月に発売されたので、今年の端末に入らないかもしれませんが、私自身は仕事に、プライベートにと、2012年で最も長い間使った端末だっただけに、いいことも悪いこともたくさん思い出せます。というか、残念ながら悪い思い出ばかり浮かんできますが……。
ご存知の通り、ISW11Fは動作が非常に不安定な端末でした。ただ置いているだけなのになぜかこっそり再起動、充電しながら使うと発熱して充電が途中でストップ。複数のアプリを使うと発熱し、動作も鈍い……などなど。アップデートが頻繁に行われ――私自身はありませんでしたが――アップデートすると不具合が起こる、などの口コミも目にしました。
ただ、「出来の悪い子ほどかわいい」といわれるように、愛すべき端末でもあります。ディスプレイ下に搭載されたシーソー型の物理キーは、センサーキーよりも使いやすく安心感がありました。ディスプレイは「サクサクタッチパネル」とはいかなかったものの、通知パネルの存在を知らせるタブや、左右に画面があることが分かる矢印を表示してくれて(必要なくなれば消すことができる)、上級者向けハイスペック端末とうたう一方で、初めてスマートフォンを使う人にも優しい作りでした。ロック画面から素早くカメラを起動でき、通知パネル内のオン/オフボタンも充実。もちろんボディは防水です。「これでちゃんと動けば海外製端末なんかメじゃない」と悔しがったものです。実力はあるのです……うまく発揮できなかっただけで。
最新の富士通製端末で物理キーはなくなっていますが、使いやすさに対する工夫は引き継がれ、さまざまなカスタマイズに対応するなど、さらに進化しています。スペック競争はひとまず落ち着き、2013年はますます使い勝手が重視されると思うので、使いやすさへの配慮には引き続き注目したいです。もちろん、富士通らしいハイスペックさも待ち望んでいます。そして今度こそ、ハイスペックで、本当にサクサクで、しかも使いやすい端末になってくれることを期待しています。
大画面の威力を実感した「GALAXY Note」
Android OSを採用した2012年のスマートフォンで、ハイスペックで、サクサクで、使いやすいものを1台選ぶなら「GALAXY S III SC-06D」を挙げます。性能については、評価されている通り文句がないものですし、画面を見ている間はバックライトを点灯し続ける「スマートステイ」をはじめ、さまざまな工夫のおかげで、とても快適に使えます。
ただ、個人的にはノートカテゴリの「GALAXY Note SC-05D」が、年齢的なものもあってか、より快適に感じます。Sペン入力については、個人的にはそれほど重視していません。とにかく見やすい、これに尽きます。メールやウェブサイトはもちろん、動画の楽しさが格段に増し、私としては珍しくYouTubeでいろんな動画を観まくりました。大画面でタッチしやすいせいか、落ち物系のゲームがやりやすくてイベントムービーの迫力も違いました。サムスンの商品企画担当の方が、「市場調査を行なって、画面は大きければ大きいほどいいという結果になった」とおっしゃっていましたが、私自身がまさしく典型的ユーザーといえます。ノートなのでタブレットほど仰々しさを感じさせず、スマートフォンのように持ち歩けます。本当に絶妙なサイズです。
そのGALAXY Noteをレビュー用に長期間お借りしていましたが、あまりに快適ですっかり自分の端末のように使い回していたため、返却する際は奪われるような気持ちでした。なので、後継機の「GALAXY Note II SC-02E」はぜひ購入しようと思っていたのですが、この発売前に「Nexus 7」「iPad mini」&「iPad Retinaディスプレイモデル(第4世代)」、プライベートでも使用する「G'zOne TYPE-L CAL21」と、短期間に端末の購入が続き、貧乏ライターにとっては非常に厳しい事態となりました。中古品でもいいので、GALAXY Note IIをなんとか入手したいと思っていますが。
GALAXY Note IIは、さらに大画面になりながらアスペクト比が変わって、細く長くなったことで初代よりも持ちやすくなっています。また、Sペンも大きく使いやすくなり、ペンを抜くとメモが起動するといった工夫も気が利いています。手書き入力がしやすくなっているので、かつてザウルスなどの電子手帳にハマった方々にもお勧めしたい端末です。
“ケータイ嫌い”も魅了した「iPhone 5」
「iPhone 5」については、端末自体に関しても、iPhone 5が巻き起こした業界の動きに関しても、非常に興味深く思っていますが、私自身が最も感銘を受けたのは、やはり外観についてです。はっきりいって、発売前までiPhone 5のツートーンデザインは気に入らなかったのですが、リーク画像はしょせんリーク画像に過ぎませんでした。実物は、寄木細工のようにパーツがぴったりと組み合わされていて本当に美しい。大きくなった画面は見やすく持ちやすく、高く評価されているのも、もっともだと感じます。
iPhone 5は家族にも使わせているのですが、これまで「ケータイはなるべく使わない」と言い張っていた人間が、iPhoneを持った途端、PCから音楽を転送し、スリープタイマーをセットして寝る直前まで聴き続け、「radiko」を聴きながら散歩し、しかも「LTEと3Gが切り替わるときに音がしばらく途切れる」などと批評し、Safariで浦和レッズの試合結果をこまめにチェックし……とフル活用です。本人にとっては初めての“スマートフォン”ですが、すぐに使えて、ここまで魅了してしまう(本人は否定していますが)ところは、iPhoneの大きな強みでしょう。来年も、iPhoneとAppleが最も注目する端末と企業であることは間違いありません。
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