京セラが米国で好調の理由/3万円未満のタブレットで攻めるNEC:石野純也のMobile Eye(11月11日〜11月22日)その2(2/2 ページ)
今回の「Mobile Eye」2本目では、北米市場でシェアを伸ばしている京セラの戦略と、250グラムの軽量7インチタブレット「LaVie Tab S」を発売したNECのタブレット戦略を取り上げる。
シェア大幅拡大中の低価格タブレットに本腰を入れるNEC
NECパーソナルコンピュータは11月12日、250グラムと軽量な7インチタブレット「LaVie Tab S」を発表した。14日に出荷が開始されている。Androidのタブレットは、先に発売されていた1万円台の7インチの「LaVie Tab E(TE307)」や、10.1インチの「LaVie Tab E(TE510)」と合わせて、合計3モデルの展開となる。
従来、NECグループは法人・個人の両方にWi-Fiモデルの「Life Touch」を、キャリアのセルラー対応モデルを「MEDIAS Tab」というブランドで展開していた。この中で、個人向けのWi-FiモデルをPCと同じ「LaVie」にブランドを統一。低価格帯の商品をそろえて、普及に向け本腰を入れた。LaVie Tab Sも250グラムと軽量で、7.9ミリのスリムなボディを採用しているが、価格は2万8000円前後とリーズナブル。この市場のライバルといえる「Nexus 7(2013)」と比べても、40グラム軽く、手に取っただけで違いが分かる。NECパーソナルコンピュータ 商品企画本部長の山下敏嗣氏も、「スマートフォンとタブレットを両方持つ中で、重いと2つは持ち運びにくくなってしまう」とNexus 7に対する優位性を語る。
3万円台を切る価格がポイントになるのは、タブレット市場で3万円未満の価格帯が主流になりつつあるからだ。GFK調べのデータによると、3万円未満のタブレットが市場全体の過半数を占めている。2012年モデルのiPad miniが為替レートの変更で3万円以上になり、一時的にシェアは落ちたが、それは一時的なこと。3万円未満のタブレットが伸びている状況は変わっていない。同社の広報部も「あえてこの価格を狙った」と意気込みを語る。
軽量という特徴を出しつつ、価格を抑えることができたのは、Lenovoとの協業の成果だという。LaVie Tab Sと外観、スペックが非常に近い機種は、9月にドイツ・ベルリンで開催されたIFAでもLenovoから発表されていた。山下氏によると、この商品にも「ハード、ソフトともに、NECパーソナルコンピュータ側の要望は反映されている」という。ここに、NECパーソナルコンピュータが独自のアプリを入れ、LaVieのブランドを冠して販売するのがLaVie Tab Sというわけだ。
同様の取り組みはPCで行われていたが、コンシューマー向けのタブレットにもこの枠組みが生かされている。一方で、キャリアに納入する商品はNECパーソナルコンピュータが手掛けない。セルラー対応モデルも現時点では「未定で、時期を見て検討したい」(山下氏)と述べるにとどまっている。ここまでコンパクトだと、持ち運んでいつでもデータ通信したいというニーズも生まれてくる。その際に、テザリングを利用するのは少々面倒だ。Lenovoは主に中国市場に向け、スマートフォンも手掛けているだけに、このノウハウを生かした低価格な端末の登場も期待したい。
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