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安定した高速通信を実現――KDDIが他社に先がけ「キャリアアグリゲーション」導入へ

KDDIが、LTE-Advancedの技術の1つで、下り最大150Mbpsの通信が可能な「キャリアアグリゲーション」を、今夏をめどに導入する。同社は今後もLTEネットワークの取り組みを強化していく方針だ。

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KDDI技術統括本部長 執行役員常務の内田義昭氏

 KDDIが4月21日、下り最大150Mbpsの通信が可能な「キャリアアグリゲーション」を、2014年夏をめどに導入することを発表した。同日に説明会を開催し、KDDI技術統括本部長 執行役員常務の内田義昭氏が、技術的な視点から説明した。

auの強みは「ネットワークの技術力」

 内田氏によると、「現在、世界中の101カ国でLTEネットワークが採用されており、LTEサービス契約数で世界2位の日本はLTE先進国」だという。「auのネットワークは2002年の3G(下り最大144Kbps)からわずかな期間で成長し、10年後の2012年には下り最大75MbpsのLTE(3.9G)を実現した」と、auのネットワークの過程を振り返った。

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auが提供してきたモバイルネットワーク

 その中で、内田氏が特に強調したのが日本国内におけるLTEエリアの範囲についてだ。「auの強みはエンジニア力」とし、LTEに対応したエリアの実人口カバー率が2013年3月末の96%から2014年3月末には99%に拡大したことを話す。これは面積カバー率でいうと1.5倍に相当するもので「いかに早く基地局を増やし、エリアを拡大してきたかを見ると、技術力がau最大の強みだと分かる」(内田氏)と胸を張った。また、空港や新幹線など全国の主要施設だけでなく、2014年3月に沖縄県北大東島や新潟県十日町市などのLTEエリア化が完了したことにも触れ、カバー範囲の広さを強調した。800MHz帯だけでなく、2.1GHz帯のエリアも順次拡大していき、2014年3月末時点で85%である実人口カバー率は、2015年3月末には90%を超える予定だという。

photophoto 国内のLTEエリア(写真=左)。2.1GHz帯のエリアも拡大中(写真=右)

高速で快適な通信が可能な「キャリアアグリゲーション」

 続いて内田氏は、LTEの次世代高速通信規格である「LTE-Advanced」の主要技術として「広帯域化、小セル化、多アンテナ化」の3つの要素に触れ、広帯域化の領域として「キャリアアグリゲーション(以下、CA)」を、2014年夏をめどに導入すると発表した。

photophoto 複数の周波数帯を同時に使用することで、通信速度や通信品質を向上させる「キャリアアグリゲーション」

 CAは、複数の周波数帯を同時に使用することで、通信速度や通信品質を向上させるもの。今回は800MHz帯の10MHz幅(下り最大75Mbps)と2.1GHz帯の10MHz幅(下り最大75Mbps)の帯域を重ねることで、auのスマートフォンで下り最大150Mbpsの通信が可能になる。内田氏は「ほかの帯域の組み合わせについても検討中」と話す。基地局をCAに対応させるためには800MHz帯の無線装置と2.1GHz帯の無線装置をケーブルで連携させる必要があり、対応基地局は順次拡大していくという。

 「通信速度の向上、安定した高速通信の実現、ネットワーク全体の効率化」という3つの特徴を持つCA。内田氏が特に強調したのが「安定した高速通信の実現」だ。片方の電波が弱いときにもう一方の電波がそれを補完する「周波数ダイバーシティ効果」により、安定的で快適な通信が行えるという。

photophotophoto キャリアアグリゲーションが持つ3つの特徴

 2014年夏モデルのauスマートフォンからCAに対応する予定で、従来の機種やそのほかSIMロックフリーの機種などについては「現時点では、ひとまず今夏のauスマートフォンに対応するということしか言えない」(内田氏)ということだった。なお、ピコセル(スモールセル)も順次CA化を進めていく方針だ。

下り最大150Mbpsの対応基地局は、CA導入時点では約2500局で、2015年3月末で全国約2万局まで拡大する予定だという。

photophotophoto 2014年夏モデルのauスマートフォンから対応していく(写真=左)。下り最大150Mbpsの対応基地局は2015年3月末で全国約2万局まで拡大する予定(写真=中)。2020年には5G通信を提供できるよう取り組みを進めていく(写真=右)
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KDDI技術統括部 モバイル技術企画部長の吉田智將氏

 他社に先がけてCAを先行導入できた理由として、KDDI技術統括部 モバイル技術企画部長の吉田智將氏は「これまでデュアルバンドの展開を始め、マルチバンドオペレーションを先がけてやってきた」と説明する。他社に先行して導入することの優位性については「他社がどのバンドで実施するかに依存する。また、他社がどれほどの速さで基地局を建てられるかなどによるので、一概に何とも言えない」と話す。

 CAを使うにあたって端末の消費電力にどれほどの影響があるのだろうか。KDDI技術担当者に聞いたところ「快適な通信とトレードオフになるもので、具体的には何とも言えない」とのことだった。

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