MMSもテザリングも利用できる――UQ mobileの「iPhone 5s」を試す(2/2 ページ)
7月15日に「UQ mobile」向けの「iPhone 5s」が発売された。“MVNOが扱うiPhone”という意味で珍しい機種なので、ソフトウェアや機能面で気になるポイントを確認していきたい。
専用SIMを採用、使い回しはOK?
UQ mobileのSIMカードは、VoLTE非対応とVoLTE対応で異なるタイプが使われている。iPhone 5sはVoLTEに対応していないので、前者と同じタイプのSIMカードが使われているが、5sは専用のSIMカードが使われている。確かに、UQのiPhone 5sを起動したら、ピクトエリアに「UQ mobile 4G」と表示された。SIMロックフリーまたはSIMロックを解除したiPhoneにUQ mobileのSIMを挿すと、通信キャリアは「KDDI」と認識されるので、UQ mobile専用のSIMであることがうかがえる。
では、UQのiPhone 5sに、UQ mobileで広く使われているVoLTE非対応のSIMカードを挿したらどうなるのか。VoLTE非対応のUQ mobile SIMを挿すと、ピクトエリアに「au」→「圏外」→「au 1x」といった順に表示がめまぐるしく変わって安定しない。圏外の表示でないときに通話はできたが、データ通信はできない。
UQのiPhone 5sには、iPhoneを通信可能にするための「プロファイル」がインストールされていないので、これが原因か? と思い、UQの5sにプロファイルを入れてみたところ、「au 4G」の表示に切り替わり、データ通信を利用できた。……と思いきや、通信できたのは最初の数分だけで、途中から通信不能になってしまった。やはり専用SIM以外では利用できないと考えた方がよさそうだ。
続いて、UQ mobileのVoLTE対応SIMを入れたところ、再起動がかかってアクティベーションを求められた。その後Wi-Fiネットワークを選択して進むと、「SIMが無効です」と表示されて、これ以上先へ進めなかった。VoLTE対応SIMは一切利用できないようだ。
UQ mobileのプロファイルを削除せずにiPhone 5s専用SIMを入れ直したところ、最初の数分は通信できたが、すぐに圏外になってしまったので、プロファイルは削除した。
UQのiPhone 5sでは専用SIMしか使えないことが分かったが、反対に、この専用SIMを他のiPhoneに入れたら通信できるのだろうか。SIMロック解除済みのソフトバンク版iPhone 6sにUQ mobileのプロファイルをインストールし、専用SIMを入れたところ、キャリア設定アップデートがかかり、アップデートをしたら、問題なく通信と通話が利用できた。ピクトエリアには「au 4G」と表示され、UQ mobileのVoLTE非対応SIMを入れたときと同じ挙動になった。
ただしテザリングについては、「設定」→「モバイルデータ通信」→「インターネット共有」の項目が残っていたものの、このインターネット共有の項目がひたすら確認中となり、利用できないようだ。
UQのiPhone 5sは買いか?
CPUはiPhone 6sより2世代古い「A7」、通信速度も下り100Mbpsにとどまるなど、最新モデルと比べるとスペックは見劣りするiPhone 5sだが、640×1136ピクセルの画面解像度、800万画素カメラ、フルHDの動画撮影、Touch ID対応など、ライトユーザーには十分すぎるスペックともいえる。一括価格が5万円ほどなら「iPhone SE」を導入したいところだが、2年間使えば大きく割り引かれる。現行モデルでは数少ない4型サイズにも魅力を感じる人は多いだろう。
何より、これまでiPhone+UQ mobile SIMでは利用できなかったテザリングとMMSを利用できるのが大きい。
気になるのはストレージの少なさと、OSアップデートがいつまで続くのかという点。2011年に発売された「iPhone 4S」のOSアップデートが2016年のiOS 10で対象外となったが、この流れで行くと、2013年に発売されたiPhone 5sのOSアップデートは2017年で最後になる。そうなると、購入時期によってはぴったりプランや端末購入アシストの2年縛りの最中に最新OSにアップデートできなくなる。
このように注意点も多いUQのiPhone 5sだが、上記のメリットに魅力を感じるなら、導入する価値は大いにあるだろう。
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