カウントフリーからIoTまで――NTTコムに聞く MVNEの取り組み:MVNOに聞く(2/3 ページ)
MVNE事業に軸足を置いている企業の1社が、NTTコミュニケーションズ。最近では「LINEモバイル」のMVNEとしても注目を集めた。MVNEとして、同社にはどのような強みがあるのか。
カウントフリー提供の判断基準は「ユーザーへの情報提供」
―― LINEモバイルのケースでは、サービス開始にあたって、通信の秘密やネットワーク中立性に関する説明がありました。NTTコミュニケーションズとして、MVNOにサービスを提供する場合、何か基準のようなものはあるのでしょうか。例えば、仮にユーザーに黙って提供しようとしているMVNOがいた場合、どうされますか。
唐金氏 “最低限”として申し上げているのは、ユーザーへの情報提供をしていく必要があるということです。知らないうちに、カウントフリーになっていましたということはないようにしています。十分な情報提供と説明は免れないものだと認識しています。
―― 説明をして同意を取るというのは分かるのですが、一方で、「IPアドレスやポート、ヘッダの一部」と言って、ユーザーが本当に分かるのでしょうか。技術的な点まできちんと理解させようとすると、それはそれで説明が長くなってしまい難しいとは思いますが……。
唐金氏 あまりにテクニカルなことを伝えても、逆に事実が伝わらないこともあるので、線引きが非常に難しい。それは私たちも思っています。
―― 総務省と接点という意味では、LINEモバイルに限らず、そういった行政対応のサポートもしているのでしょうか。
山本氏 MVNOをするには電気通信事業者としての届け出も必要で、そういったところからサポートしています。「連携を取らず勝手に進めます」ということはないですね。法制度をすり抜けるのではなく、ビジネス上問題ない形でやっていただくためのサポートをしています。
―― 通信事業にそこまで詳しくない会社だと、頼もしいかもしれません。MVNOのプレーヤーが多様化している中、そういうことが苦手な会社も増えている印象があります。
村田氏 実際にサービスしようとすると、部材まで必要になるので、そういったところまで含めてやっています。アイデアがあっても、ルーター、センサー、回線、アプリ、クラウドと、それぞれにプレーヤーがいます。何をやればいいのかというところは、スタートアップの会社に対しても細かく対応しています。
関連記事
- 業界に衝撃を与えた「LINEモバイル」の向かう道――嘉戸社長に聞く
3月に発表されたLINEのMVNO参入のニュースから約5カ月半、ついにLINEモバイルのサービスがスタートした。9月の2万台限定のスタートから、どのような反響があったのか? 本サービスにどのように生かしていくのか? LINEモバイルの嘉戸彩乃社長に聞いた。 - LINEモバイルは「通信の秘密」「ネットワークの中立性」に反する?――LINEがコメント
「LINEモバイル」はLINE、Twitter、Facebookが使い放題になるのが大きな特徴だが、「通信の秘密」と「ネットワークの中立性」に反する(恐れがある)という問題をはらんでいる。LINEが、この2つの問題についてコメントを発表した。 - 「VAIO S11」で独自SIMを採用した理由、MVNO参入でVAIOが目指すものとは?
「VAIO S11」は、LTEに対応し、SIMロックフリーで利用できるモバイル向けのPCだ。注目したいのが、VAIO S11の発売と同時に、VAIOは、MVNOとして通信サービスも提供すること。なぜVAIOはMVNOとなり、NTTコムのSIMを採用したのか? 詳細を聞いた。 - 「悪ではないが、検討すべき課題がある」――IIJのゼロ・レーティングに対する考え
特定のアプリやサービスを使ったときのデータ通信量をカウントしない「ゼロ・レーティング」を採用するMVNOが増えているが、「通信の秘密」や「ネットワーク中立性」で議論の余地が残っている。IIJの考えは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.