SIMフリースマホを購入するときに知っておきたい「バンド」とは:ITライフch
環境が整い「当たり前に」使えるようになった電波。この電波について知っておくと、SIMフリースマホを選ぶ際の助けになります。そこで、NTTドコモを例に、電波について解説します。
私たちが使用しているスマートフォンは、電波を使って電話・インターネットを利用しています。電波を目で見ることはできませんが、複雑な設定をせずともすぐに全国の幅広いエリアで使えるようになりました。
環境が整い「当たり前に」電波が使えるすばらしい時代です。けれども、電波について少しでも知っておくと、SIMフリースマートフォンを選ぶ場合に有利になります。そこで、NTTドコモを例に、電波について解説します。
■進化する携帯電話会社の「電波」
まず、簡単に電波についてのお話をしましょう。周波数3THz以下の電磁波を総称して「電波」と呼びます。スマートフォンのみならず、テレビ・ラジオに各種無線も電波を使っています。また電子レンジも電波を使って食品を温めるしくみです。
電波をみんなが好き勝手に使うと「干渉」してしまい、快適に使うことができません。そこで総務省がルールを設け、使用する電波を割り振りし、その基準に適合した機器しか使えないようにしています。 また、携帯電話会社も、総務省から割り振りされた電波を使い、スマートフォンが使えるように「エリア」を構築しています。限られた電波を効率よく使うべく、携帯電話会社は最新の技術を投入し、通信用の電波を進化させてきました。
通信方式 | W-CDMA | LTE ※カッコ内はエリア | |
---|---|---|---|
700MHz帯 | ― | バンド28 | |
800MHz帯 | バンド6/19 | バンド19 | |
1.5GHz帯 | ― | バンド21 | |
1.7GHz帯 | ― | バンド3(東京・名古屋・大阪のみ) | |
2.0GHz帯 | バンド1 | バンド1 |
700MHz/800MHz帯は電波が回り込みやすいため、広いエリアをカバーできます。対する2.0GHz帯などは電波の直進性が高く、通信速度が安定するなどのメリットがあります。
地方ののどかなエリアなどでは、700MHz/800MHz帯などの低い周波数帯でエリアを構築し、人が集まる都市部では2.0GHz/1.7GHz帯の基地局をこまめに設置するなど、快適に使えるように使い分けてくれています。
■少しややこしいのは、周波数帯とバンドの関係性
たとえばドコモの1.5GHz帯はLTE「バンド21」ですが、auの1.5GHz帯のLTEは「バンド11」です。同じ周波数帯でも、バンドが異なると使うことができないため、スマートフォンを買う時はバンドをチェックすることをおすすめします。
また、ドコモのバンド3は東京・名古屋・大阪のみ使えるエリア限定のバンドです。同じバンド3でもソフトバンクは全国のエリアで使えます。これは総務省が電波を割り振りする段階で決まっているものです。また、ドコモから電波を借りてサービスを行なっているMVNO各社も、ドコモと同じ周波数/バンドを使っています。LTEのバンドは世界のスマートフォンメーカーの共通のルールのようなものです。
世界的に見ると「バンド1」「バンド3」は多くの携帯電話会社が使っているため、海外のSIMフリースマートフォンも対応している機種が多いのが特徴。反対に、「バンド19」「バンド21」はドコモくらいしか使っていないため、海外のスマートフォンのほとんどが非対応です。
そのため、海外のスマートフォンを使う場合は「バンド19」「バンド21」に対応しているかどうかを確認したほうがいいでしょう。たとえば、私が使用しているiPhone 7 PlusはドコモのLTE周波数を全てカバーしています。そのため、自宅でも電波は良好です。
一方、SIMフリースマートフォンBlackBerry Privは「バンド21」に対応していないため、自宅での電波のつかみが非常に悪くなっています。
バンド3は東京・名古屋・大阪でしか利用できないため、地方在住者が「バンド19」「バンド21」非対応のスマホを購入した場合、「バンド1」「バンド28」しか使うことができません。バンド28は比較的新しい電波のため、対応エリアは広くないと推測されています。そうなると実質「バンド1」での戦いとなります。
前述したように、地方では「バンド19」などが使われていることが多いため、そのエリアに入ると「3Gに落ちる」「圏外になる」など、快適に使えなくシーンが多くなります。
SIMフリースマートフォンを購入する場合は、一度対応している「バンド」を確認し、自分の地域との相性をたしかめてください。さもなければ、筆者のように自宅での電波状況が悪いまま使うことになってしまいます。
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