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総務省の新ガイドラインが中古携帯業界に与える影響:中古携帯の動向を追う(2/2 ページ)
実質0円の廃止や長期利用ユーザーの優遇などで大きく変動している携帯電話業界。中古業界にはどのような影響を及ぼすのでしょうか? これまでの経緯を確認しながら解説していきます。
中古業界にとってプラス面
SIMロック解除の短縮化
- 消費者は、ロック解除端末を高値で販売できる可能性が増える。※iPhoneのように海外でも人気がある端末は、SIMロックが解除された端末の方が、ロック未解除の端末よりも高く売れるため
- 中古携帯事業者は、今までより早くロック解除済み端末を入手できる。また消費者にとっても、今までより早くロック解除端末が中古で購入しやすくなる
- 格安SIMを取り扱っている中古携帯業者は、SIMロック解除済みのスマートフォンを格安SIMとのセットで売りやすくなる。その結果、MVNO業界の発展に寄与する
- 格安SIMを取り扱っていない中古携帯業者でも、格安SIMユーザーに対して、SIMロック解除済み端末を販売しやすくなる
- SIMロック解除が短縮化されることで、キャリアやMVNOが販売する端末代金が高額になる可能性がある。そうなった場合、中古端末の安さがより際立ち、価格面でのメリットが増える
端末購入適正化
- 端末の実質負担額を、2年前の同型機種の下取り価格以上を目安とするため、キャリアの下取り価格が低廉化する恐れがある。これによって、中古店の方が高く買い取れるようになると、日本の中古市場に出回るiPhoneが増える可能性がある(キャリアが下取りしたiPhoneは、海外に転売されている)
中古業界にとってマイナス面
SIMロック解除
- auの中古スマホの利便性が下がる。
KDDIは、改正前では契約者本人でなくてもSIMロック解除できたが(中古auスマホでもSIMロック解除できた)、改正後には、契約者本人でないとSIMロック解除できないように改悪された。
端末購入適正化
- 新品端末が流通しなくなって中古事業者の仕入れが減るため、最新機種を消費者に提供できない
9月には新型iPhoneが発売されるといわれています。そこで注目したいのが、今から2年前に発売された「iPhone 6s」の下取り価格です。2017年後半の中古業界の盛り上がりは、iPhone 6sがカギを握っているといえます。
著者プロフィール
粟津浜一
株式会社携帯市場 代表取締役
1979年岐阜県生まれ。2004年筑波大学大学院理工学研究科修士課程修了。その後ブラザー工業にて、さまざまな研究開発業務に従事。2009年株式会社アワーズ設立、社長に就任。2017年株式会社携帯市場に社名変更。中古携帯を日本中に文化として広めることをビジョンとして、中古携帯市場動向セミナー、事業説明セミナーを行い、これまでに1000以上の店舗に中古携帯事業を展開、コンサルティングを行っている。
- →携帯市場
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