モバイル通信市場の「公正競争」促進には何が必要? 総務省の検討会が論点整理(3/3 ページ)
2017年度内に開催されると思われた「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の第5回会合が、年度をまたいで4月9日に行われた。総務大臣への提言にむけた論点整理が行われたが、その「論点案」は多岐に渡る。
論点4:利用者の実態に合ったサービス選択
検討会では「適切なプラン選択」「料金の日割り計算」「MVNOのサービス説明」も話題に挙がった。特に、料金の日割り計算については料金項目によって日割りの可否が分かれていることに一部から疑問の声が挙がっていた。
「データ(パケット)定額」「音声(準)定額」など、日割り計算が難しいサービス料金もあることから、論点案では日割り計算について料金ごとに妥当性や可能性を検討するように促している。
論点5:端末やサービスの提供条件
検討会では、MNP契約を“狙いうちした”高額キャッシュバック事例が一部で「復活」していることも大きなトピックとなった。
総務省の「モバイルサービスの提供条件・端末に関するガイドライン」では、MNOによる端末購入補助に一定の制限を加えている。しかし、復活したキャッシュバックは販売代理店が“独自の判断”で行っているケースが多く、一律の規制を行うことが難しい。
そこで論点案では、MNOがキャッシュバックや端末代金値引きを“実質的に”指示した場合、名目上は端末購入補助ではない金銭でも「端末購入補助」と見なす必要性を盛り込んでいる。また、販売店独自の判断による値引きについても、独占禁止法に抵触する可能性がある事案については公正取引委員会に情報提供することを検討するように促している。総務省のフォローアップ体制に公正取引委員会の傘下を求めることも提言している。
高額キャッシュバックはMVNOでも見受けられる。そのこともあり、一部の構成員からはMVNOにもガイドラインを原則適用することを論点に加えるべきという旨の意見も出た。
次回の会合は4月16日の16時30分から開催される。今回の論点案を踏まえ、総務大臣への提言を取りまとめられるものと思われる。
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