News | 2002年12月13日 12:32 PM 更新 |
「今、3倍とか4倍をやってもまったく意味がありません。記録スピードの向上は、レーザーのパワーだけの問題だけではなくて、それ以外のところが非常に大きいのです。例えば、レーザーの駆動回路ですとか、記録ストラテジですとか、(レーザーの)立ち上がり時間ですとかが問題になります。実のところ現在の2倍速でもかなり厳しいんです。そういった現状で、高速化のことをいっても、あまり、意味がありませんよ」(久保氏)。
また、0.1ミリのカバー層に対応した追記型ディスクの記録容量は、現状では「23.3Gバイト」とBlu-ray Disc規格の中でも最も容量が少ないものとなっている。その点について、久保氏は、「25Gバイトは、実際に実験もやっていますが、27Gバイトはまだできていません」という。
同氏は「27Gバイトというのは、“原理的”な面からみてもかなり厳しいところにある値だと思っています。多分、まだ、リライタブルの方でもめどはついていないのではないなと思います」と、27Gバイトの実現は、技術的にもかなり難しいものだという。「ただ、25Gバイトは確実にいけます」(同氏)。
また、同社が開発した追記型ディスクは、記録層に有機色素を使用しているため無機膜とは異なり反射率が“高く”なる。このため、仮に規格が最初に策定された書き換え型に機械特性を合わせるとなると、反射率を“抑える”必要がでてくる。
久保氏によるとこれについてはすでにめどが立っていると話す。「設計には自由度があり、低く狙って作ろうとすれば、低くもできます。ただ、有機色素の場合、高くもできます。ですから、高くできたほうが性能のマージンが広がるかなと思います。ただし、CDのように70%とかいった高さはでません。DVDの場合は55%ぐらいなんですが、そのぐらいかもう少し低目ですね」(久保氏)。
加えて、同氏は「保存性は、CDやDVDクラスまでいけます」とし、低反射でいいなら、反射層はなくてもいいという。「最終製品として反射層があるかないかということは、反射層の役目は光を反射させるだけではありませんので、現段階ではなんとも言えません。ただ、リライタブルの規格でよければなくても(必要な特性は)得られます」(久保氏)。
裸ディスクも想定し、ハードコートも開発中
久保氏は「カートリッジは外したい。われわれは昔FDDもやってましたけど、(最後は)中身よりも外側の方が高くなりましたからね。やっぱり、必然的に裸のほうにいきますよ」と笑いながら話す。
たとえカートリッジがあったとしても、松下電器産業が今年のCEATEC JAPAN 2002でも展示していた上開きタイプになるのではと言う。「こういう方向の提案が今後は、どんどん増えていくと思います。コストもこの方が安くなりますし、これは大きいですよ。最後は“目方の勝負”になりますからね」。
また、同社では裸ディスクも想定し、高い強度をもったハードコートの開発を自社で行っている。「今は積極的に発表する段階ではないのですが、十分な硬さのものはできています」(久保氏)。そのうち学会などで発表する可能性もあるという。
記録メディアは、どうしても、最後は価格勝負になりがち。同社では、台湾や韓国などがメディア製造に乗り出したときのことも想定しているという。「メディアの場合、(価格に)右肩上がりは絶対ありませんから、下がったときでもちゃんと利益がでるよう、そういうポテンシャルがあるものを作りたいですね」(久保氏)。
[北川達也, ITmedia]
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