News | 2002年12月30日 00:00 AM 更新 |
再編は一服、次は?
記者K林(以下K林) 「2002年、キリ番踏んじゃった的な年もいよいよ終わります」
記者I永(以下I永) 「次は3003年ですね。もとい、ではZDNetの国内目玉記事で2002年を振り返りましょう。さて今年もIT業界の景気は決して良くはなかったけど、去年に比べれば大きな経営破たんや事業撤退は少なかったかな」
K林 「再編も一服した感じかな。残念なのは“オールインワンA4Windows CEノート”といったカッティングエッジに過ぎた製品を放ってきた高木産業(パーパス)がPC事業から撤退したこと」
――I永 「高木産業と言えば、デスクトップ版プロセッサをノートに搭載するという一点突破主義で同社と競ってたアキアも事実上整理されてしまった」
K林 「紆余曲折あったフリーウェイも完全撤退か」
――I永 「一方で崖っぷち企業が大転換で再生の道筋をつけた元気な例も出てきたね」
K林 「T・ZONE.とかね。旧亜土電子工業のショップのショーケースでZ80を見つめていた俺としては、あのコスプレ喫茶には仰天したよ」
――I永 「人気らしいよ。この前“眼鏡っこオンリー”の日があって、大行列で長時間待ちだったって」
K林 「コスプレ喫茶もジャンル細分化という“いつか来た道”をたどるんだろうか? 例えばニーソックスキャラオンリー店とか」
――I永 「女装オンリー店とか」
K林 「……(遠い目)」
――I永 「……(遠い目)」
K林 「……T・ZONE.に限らず、今年は秋葉原全体が大きく変ぼうした」
――I永 「同人誌ショップがいっぱいできたけど、あんなにあってやっていけるのかなって人ごとながら心配になってくる」
K林 「過当競争気味だよね。各地で聞いた話や実感からすると、ギャルゲーとアニメ、その同人誌のブームも一時期と比べると勢いがなくなってきた感じはある。同人誌イベントも斜陽ジャンルはどん底らしいし、数年前には存在したようなすべてを制覇する一大ジャンルもなかなか現れないそうな」
――I永 「メディアミックスをねらって投入された某ゲームタイトルが意外に数が出なかった、なんて話も聞いた」
K林 「アタリショック気味なのかなあ。だいたい雨後のタケノコ状態であんなに似たような──」
――I永 「おっとそれ以上はスレ違い」
K林 「失礼。とはいえ、PCからコンシューマコンソール用ゲームソフト、PCパーツ、2Dギャルへと漂流してきた最近の秋葉原ですが、次のムーブメントはなかなか見えてこないね」
――I永 「個人的にはぜひ自作ロボットを」
K林 「自作携帯電話とか。『やっぱSHのデュアルだろ』みたいな」
――I永 「企業サイトからの個人情報の流出が相次いだ」
K林 「公開Webサーバに個人情報を蓄積していたり、cgi-binにとりあえずindex.htmlを置くとかの初歩的な対策も講じてなかったりとか、あまりに安易な姿勢は弁解の余地がないだろうね。訴訟に至ったケースも出たし、安く上げようって意識が結局は高くつく可能性があることを真剣に考えてほしい。ただ情報漏れの事実がまずネット掲示板で公表されてしまうなど、報告のルールも論議を呼んだ」
――I永 「同様にソフトウェアの脆弱性の公開方法もまだ確立していない」
K林 「そういえばこれは特筆しておきたいんだけど、『PostPet』に穴が見つかった時、販売元のソニーコミュニケーションネットワークはメディア各社に『影響が大きなことだからぜひ記事にしてほしい』ってメールや電話で積極的に働き掛けてきたんだよね。この手のネガティブな話ってこちらから聞かなければ教えてくれない場合が多いんで、印象に残ってる」
――I永 「GPL違反に問われたエプソンコーワが事後対応の誠実さで逆に好感度をアップさせた例もあった」
K林 「ごめんなさい、って言えない大人を大勢見た1年だっただけにね」
――I永 「そういえば東京電力のサイト、あの記事を掲載した次の日からはトップページで節電を呼び掛けてた」
K林 「それにしてもいっぱい記事書いたなあ」
――I永 「ふむ、しかし『世界初、こたつが人を感知して自動オンオフ』ってITになんか関係あったの?」
K林 「ZDNetは“Believe in Technology”を標ぼうしてるんだからいいでしょ。最新技術に敏感に反応しただけですよ」
――I永 「最新か?では『アルデンテを科学的に解明 日清がMRIでパスタを測定』も?」
K林 「それこそテクノロジーの勝利だろう」
――I永 「『予約限定生産のぷよまんどうぞ』が?」
K林 「それは企業動向ものだよ」
――I永 「『IT戦士、漢汁を食す』は?」
K林 「ITハードワーカーが多い読者の健康を気遣った」
――I永 「『お盆休みは人生ゲームでボンバイエ! 猪木バージョン登場』はどうなの?」
K林 「ITに関係あったら俺もビックリだよ」
――I永 「おいあんた」
K林 「何か不審な点でも?」
――I永 「不審な記事も多いぞ」
K林 「な、何を言うか。比較的カタい記事が多いZDNetに彩りを添えようと思って毎日真剣にネタ探ししてるんだぞ! 『硬派と軟派をほど良く混ぜないと紙面に活気が出ない』って俺の師匠だった新聞記者が言ってたもん! 読者のみなさんの興味関心を常に念頭に置いたサイトづくりを心がけてるんだからあ!」
――I永 「読者の興味というか、あんたが好きなんだろ」
K林 「うん(赤面)」
K林 「線上のメリークリスマス」
――I永 「キリー・ポッター」
K林 「愛用データ、改め通勤フラッシュ」
――I永 「記録喪失」
K林 「今年も最高のネタ元だったな、イーレッツ」
――I永 「線メリ、季節感に乏しいZDNet編集部も勝手にクリスマス化してくれましたね」
K林 「うん、余ってたPCをUSB電源用にわざわざ稼働させて楽しんだよ」
――I永 「節電しろよ。『クリスマスというか、掃除機みたいな音』って言った編集部員もいましたが」
K林 「まったく失敬なヤツだな。ネットオークションで高値で取引されてる人気アイテムだってのに」
――I永 「それにしてもあのネーミング、普通の会社なら『そろそろ恥ずかしいからやめようか』ってことになると思うんですけど」
K林 「イーレッツに限ってそれはありえないと断言できるね。これはあくまで個人的な見解だが、名古屋には『いちごスパ』『小倉抹茶スパ』『メロンパンスパ』だので世界を震かんさせた『喫茶マウンテン』があり、これはイーレッツのネーミングセンスと無関係ではないような気がしている」
――I永 「名古屋の人、怒るよ」
K林 「いずれにせよ、今年1年でイーレッツの名前と商品名ってイヤでも頭に入っちゃったよね。馬鹿にされたって名前覚えさせたほうが勝ち。われわれの記事の見出しだって同じで、クリックしてもらえなければ読んでもらえない。工夫が必要なのは当然」
――I永 「かといってあなた、『DNA、ジオン公国と提携』とか『イーバンクへようこそ!! Piaキャロ3と提携』なんてのはどうかと……」
K林 「イーレッツさん、来年も期待してます」
――I永 「……」
K林 「今年もスパムが多かったな」
――I永 「そうそう、シコタホアー」
K林 「シコタホアー」
――I永 「会社で会うたびにそんなあいさつを余儀なくされたね」
K林 「余儀なくはされてないと思うんだが、すっかり刷り込まれてしまったね。何だかんだ言ってやはりスパムの広告効果は高いんだろうか」
――I永 「そうじゃないだろう。というか、そもそも広告かどうかも分からなかったし」
K林 「あれが何だったのか突き止めたのはZDNetの大スクープだったな」
――I永 「大人広告、でしたか……」
K林 「えらい苦労した挙げ句、あの部分を翻訳サイトにかけて結果が表示された時はそれはもう、もう……力が抜けた」
――I永 「当時、『シコタホア』をGoogleで調べると、文字化けしたページが2件しかヒットしなかったんだよね。あの記事の後、某巨大掲示板でもたまに見かけるようになった」
K林 「そりゃすげえや、俺たちシコタホアの神だよ」
――I永 「うれしいのかよ」
――I永 「ZDNetでは今年、中村“ガンダムマスター”琢磨記者がリタイアするという不幸がありました」
K林 「ファイル交換/共有ソフト絡みでは健筆をふるいつつ、ロボット記事で読者にビタミンを注入し、しまいにゃXboxを“疑惑の総合商社”呼ばわりして周囲の肝を冷やさせた彼を失ったのは痛かった。いいパイロットだった」
――I永 「『ハロといっしょでアムロ気分』か。何なんだろうね、『アムロ気分』って」
K林 「20代なのに屈折してどうするんだって感じだな」
――I永 「このドムラジコンの記事もすごいよ。『バトルするなら2台でいいんじゃないの?なんてツッコミは素人のやること。ジェットストリームアタックをばっちり決めるには、やっぱり3台なのだ。ぜひ、バンダイにはジェットストリームアタックセットを用意してもらいたいものである』だって」
K林 「『ものである』なんてエラそうに書く話じゃないよな」
――I永 「本人は普通に書いてるつもりかもしれないけど、なぜか面白かった。希有な才能だった」
K林 「確かに。posyちゃんの記事の締めが『今度のRoboCupレスキューでは、ナース姿を披露してくれたりしないだろうか……』だもんな。んなわけないだろ」
――I永 「ちょっと待て、この『来年のエイプリルフールこそは』なんだけど」
K林 「げぇっ、『おそらく、Newsには興味深い人類初のヒューマノイドロボットが登場することになるだろう……上から圧力がかからなければの話ではあるが(笑)』って何のことだよ!」
――I永 「そういや彼、このころ『ちょびっツ』読んでたんだよな」
K林 「モップ持ってるアレかもしれんよ」
――I永 「どうするんだよ来年。予告しちゃった以上、責任が生じるよ」
K林 「弊社の慣例に従い、その時になったら考えよう(苦笑)」
――I永 「もとい、そういや某有名ガンダムサイトが彼にメールインタビューを申し込んできたね。夏コミの新刊に載せたいとかで」
K林 「ところが彼は『あ、忘れてましたー、あっはっは』。同サイトにも『中村さんにふられました』とか書いてあってお気の毒」
K林 「しかしガンダムマスターなき後、あのテの分野がZDNetで手薄になった感は否めない」
――I永 「ガンダム記事は共通ペンネーム『中村豚磨』で書いてくれていいですよ、とか言ってましたな、彼」
K林 「自分をネタにできる数少ない大人だった(苦笑)」
――I永 「彼以外がガンダム記事を書いても全部彼が書いたことになったので助けられてた面はある」
K林 「アホ記事連発の国内速報担当記者は特に感謝。安心して『中華キャノン』ネタもぶちかませたし、それが世間では彼が書いたことになっていた」
――I永 「赤く塗ったのはあんただもんな」
K林 「ネットランナー編集部から先行入手できるって聞いた瞬間に思いついたからね。『ロボダッチ』経験は伊達じゃないぜ」
――I永 「ところであの赤いキャノン、どうなったの?」
K林 「色塗って写真撮って記事を載せたその夜、退社する女性社員の送別会でせん別としてプレゼント。そしたら彼女が酔っ払っちゃってさ、飲み屋でキャノンを暴発させまくりで困ったよ」
――I永 「送別会って言えば、ガンダムマスターへのせん別は確か……」
K林 「ちょうどそのころ、ペプシがガンダムキャラのボトルキャップをおまけに付けるキャンペーンやってたから、それを20個プレゼント」
――I永 「……1.5リットルボトル20本と一緒にね」
K林 「大喜びだったよ、泣きながらビッグスクーターにペプシ積み込んでたもん」
――I永 「よく帰れたよね」
――I永 「ついにNewsにマンガを載せちゃいましたね……」
K林 「Tablet PC絡みのあの記事ね。W社やC社の評判は良かったそうだ」
――I永 「それはそうかもしれんが……」
K林 「ああいう思いつき一発企画は真っ先にやらないと。どこかに先に載せられたらもうできない」
――I永 「心配しなくても、どの媒体もやらなかったと思う」
K林 「『ZDちゃん、こんなにGoogleでヒットします』と読者からメールで報告を頂いたりもした。頑張った甲斐があったよ」
――I永 「あんたはあの企画を思い付いただけだろう」
K林 「おいおい、企画がキモなんだっつーの! だってTablet PCのメリットを手っ取り早く示せるアプリケーションってのはあの時点ではアレだけだったんだから」
――I永 「……Tablet PC、確かにとっかかりがありそうでなかったかも」
K林 「“これぞPCの進化”とかって論じてる人も、その実は大昔からのペンコンピューティング論を繰り返してるだけだったりしてさ。だったらただのタッチパネルPCでいいわけで、筆圧を感知できる液晶ペンタブレットと何がどう違うんだか示せたケースは少ない」
――I永 「逆に言えば、だからこそポジティブな評価を出しにくかったということか」
K林 「一方的な“バンザイ論”もあったけど、対応ソフトが少ない現状では様子見になっちゃうのは仕方がない。液晶タブレット部の大型化も見込める来年以降に期待だね」
――I永 「そういやZDちゃんを描いた無名同人A氏、今年の冬コミにも出るの?」
K林 「出るそうだよ」
――I永 「何日目? ジャンルは?」
K林 「それは知らないほうが。そうだ、『無名同人A』じゃ何となく都合が悪いんで、ZDNet上のペンネームを付けさせてもらったんだけどね」
――I永 「ほう?」
K林 「これからは『シコタホA』で」
――I永 「……中村琢磨のTop 10最終回は『唯一、心残りがあるとすれば、ZDちゃんの連載化に関われないことか――』が締めだったね」
K林 「彼、最後まで妄想はタクマしかったね」
K林 「さて目玉記事で今年を振り返ってみると、月の砂漠を行くがごときIT業界ながらいろいろあった」
――I永 「目玉記事って、要は社長から大目玉を食らったとかって話じゃないの……」
K林 「それは言わない約束」
――I永 「献身的だったね」
K林 「誰に身を捧げてるのかはよく分からなかったが」
――I永 「自分にだろう」
K林 「Linus Torvaldsも言ってるよ、『Just For Fun』」
――I永 「Linuxと違って、われわれは何のムーブメントも生まなかったけどね」
K林 「上等です」
みなさんよいお年を、来年もZDNet JAPANをよろしくお願いいたします。読者の支持だけが頼りです。
[中村豚磨, ITmedia]
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