麻倉怜士のデジタル閻魔帳
今春のビデオカメラに見る3つのトレンド(2/3 ページ)
――それでは、市場へ登場している代表的なHDビデオカメラについてコメントをお願いします。まずはソニーの「HDR-XR520V」(レビュー)です。
麻倉氏: これほどの製品はなかなか登場するモノではありません。これはビデオカメラに限った話ではありませんが、フォーマットというものは定着しないとその力を最大限に引き出す製品は作り出すこと自体が難しいのです。本製品はAVCHDというフォーマットの成熟を始め、撮像素子やレンズ、制御するソフトまで関連する技術要素まで含めたさまざまな要素が素晴らしいタイミングで出会ったことで成立した製品といえるでしょう。
裏面照射型CMOSによって暗部のS/Nが優れていることはすでに言及していますが、やはりビデオカメラにとって大切なのは撮像素子とレンズであって、その2つの性能によって画質が左右されてしまうことを改めて思い知らされました。
増感処理が必要ないということはノイズを取り除く必要もないわけで、そのためノイズリダクションの悪影響を受けない、自然な、人間の目で見たようなイメージに近い暗部映像を得ることができます。この部分が圧倒的な映像差になっているのですね。ノイズが少ないだけではなく、暗部階調が非常になめらかなのも特徴的で、逆光での人物撮影でも髪の毛や明暗のグラデーションが非常に美しく撮影できます。
これは教訓としてとらえるべきで、現在のビデオカメラのCMOSについて、根本的かつ構造的な部分にまでメスを入れる必要があることを示しています。「CMOSだからノイジーだ」ではなく、ノイズの少ないCMOSを作れば美しい映像が得られることを考えるべきですね。
「Gレンズ」としたレンズは収差が少なく美しいのですが、特に新搭載された虹彩絞りも効いています。これまでは絞り羽の影響でボケが菱形になっていましたが、本製品ではなめらかにボケてくれます。HD時代は被写体深度を利用して、ボケ味を積極的に生かす手法も有効になっているのですが、アウトフォーカスの美しさには驚かされます。
手持ちでの撮影時にも驚かされます。広角側のブレ補正量が従来機に比べて大きくなっており、歩きながらの撮影でもブレが少ないのです。歩いているとカラダは上下するので、それが映像に反映されてしまうのが普通ですが、本製品ではそれがとても少なくなく安定しています。
歩きながら撮るというシチュエーションは結構多いので、この手法は有効だと思います。次は腰を据えてしっかり撮る際のブレを取り除くことが課題になるでしょう。つまり被写体がブレる動画ボケに対して、有効な対策を考えることです。映像については、解像感が高いだけではなく、情感も感じさせるグラテーション゛豊富なのが印象的です。
GPSの搭載も新しいですね。それほど日常的には使わないものですが、海外旅行や仕事で利用する際にはさまざまな活用法がありそうです。ですが、軌跡の表現はできないので、そこは再現して欲しい点ですし、地図もさらに詳細にしてもらえると面白いですね。
ひとつだけ惜しいのが、AVCHD/24Mbpsモードの未実装です。後処理の問題もありますが、機能として備えて欲しかったと思います。またこれらの特徴を備えたのはHDDモデルのみなので、メモリモデルの登場も期待したいところです。それに、本製品の特徴を「HDR-TG1」にもフィードバックして欲しいですね。HDR-TG1は手ブレが弱点ですから。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
6
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
7
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
8
イオンモール熊本内部の様子も──自衛隊や警察庁、救助活動の動画・写真をSNSで積極発信
-
9
TSMC熊本工場、段階的に通常操業へ 熊本の地震で一時中断、従業員の無事確認 台湾報道
-
10
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR